はじめに:ADMとは何か

Activity Defense Multiplier(アクティビティ防衛乗数、以下ADM)は、EVE Onlineの主権システムにおいて最も重要な防衛指標の一つです。このパラメータは単なる数値ではなく、アライアンスがヌルセク領域を維持し防衛する能力を直接的に左右する戦略的要素となっています。

ADMは、プレイヤーアライアンスがそのシステムでどれだけアクティブに活動しているかを反映する指標であり、より活発に利用されているシステムほど防衛が容易になるという設計思想に基づいています。この仕組みにより、単に領土を所有するだけでなく、実際にその空間を活用することが求められる、より動的な主権システムが実現されています。

本記事では、ADMの戦略的意義、具体的な計算方法、効果的な向上戦略、そして領土防衛における実践的な応用について、包括的に解説します。


ADMの基本構造と計算方法

三つの防衛指標

ADMは三つの独立した指標の組み合わせによって決定されます。各指標は0から5までのレベルを持ち、それぞれが異なる活動タイプを反映します。

Strategic Index(戦略指標)は、アライアンスがそのシステムの主権を継続的に保持している期間を反映します。この指標は時間の経過とともに自動的に上昇し、プレイヤーの直接的な行動を必要としません。レベル1に到達するには7日間、レベル2には21日間、レベル3には35日間、レベル4には65日間、そして最高レベル5には100日間の継続的な支配が必要です。この指標の特徴は、一度主権が奪われるとゼロにリセットされる点にあり、長期的な領土保持に対する報酬として機能します。

Military Index(軍事指標)は、システム内で撃破されたNPC艦船の数に比例して上昇します。この指標は、いわゆるラッティング(NPC狩り)活動の活発さを示すものであり、戦闘サイトの消化頻度やハンター活動の活性度を反映します。軍事指標の向上は、システムが実際に使用され、プレイヤーが定期的に収益活動を行っていることを示す重要な指標となります。

Industrial Index(産業指標)は、システム内で採掘された鉱石の総量に基づいて上昇します。ただし、採掘廃棄物はこの計算に含まれないため、実際に回収された鉱石のみが評価対象となります。産業指標は、システムの経済的価値と採掘活動の活発さを示すものであり、資源採取を中心とした領域運営の重要性を反映しています。

ADM値の算出

システムの最終的なADM値は、これら三つの指標から得られる修正値を基本値1に加算することで決定されます。各指標レベルに対応する修正値は以下の通りです。

軍事指標と産業指標は同じ修正値を持ちます。レベル1で0.6、レベル2で1.2、レベル3で1.7、レベル4で2.1、そしてレベル5で2.5の修正値が加算されます。一方、戦略指標の修正値はやや控えめで、レベル1で0.4、レベル2で0.6、レベル3で0.8、レベル4で0.9、レベル5で1.0となります。

Index Level012345
Military00.61.21.72.12.5
Industrial00.61.21.72.12.5
Strategic00.40.60.80.91

例えば、軍事指標レベル3(修正値1.7)、産業指標レベル1(修正値0.6)、戦略指標レベル5(修正値1.0)のシステムの場合、ADMは1.0(基本値)+ 1.7 + 0.6 + 1.0 = 4.3となります。ただし、ADMの最大値は6.0に設定されており、計算結果がこれを超える場合でも6.0が適用されます。

ADMが防衛に与える具体的影響

ADMの数値は、攻撃者が主権構造物をリインフォースするまでの時間、およびコマンドノードを捕獲するまでの時間に直接影響します。基本的な攻撃時間にADM値を乗算することで、実際に必要な攻撃時間が決定されます。

主権ハブの基本リインフォース時間は10分です。ADMが1.0の場合、攻撃者は10分間の連続したエントーシスリンク使用でリインフォースできますが、ADM 6.0のシステムでは60分間の連続攻撃が必要となります。これは6倍の防衛力を意味し、攻撃者にとって大幅な時間的コストの増加を強いることになります。

同様に、コマンドノードの基本キャプチャ時間は4分ですが、ADM 6.0のシステムでは24分に延長されます。コマンドノード戦では攻撃側が最低9ノード、防御側が最低6ノードをキャプチャする必要があるため、各ノードのキャプチャ獲時間の延長は全体の戦闘時間に大きく影響します。ADM 6.0のシステムでは、攻撃側が無抵抗で9ノードをキャプチャするだけで3時間36分が必要となり、実戦では防衛側の抵抗により更に時間が延びることになります。

Military Index LevelIndustrial Index LevelStrategic Index LevelTotal Activity MultiplierTime to reinforce a structureTime to capture a command node
0001x10 minutes4 minutes
0052x20 minutes8 minutes
5003.5x35 minutes14 minutes
0554.5x45 minutes18 minutes
4224.9x49 minutes19.6 minutes
3355.4x54 minutes21.6 minutes
4446x60 minutes24 minutes
5356x60 minutes24 minutes
5556x60 minutes24 minutes

重要な点として、これらの時間延長は攻撃側にのみ適用され、防御側が構造物を再生させたりコマンドノードをキャプチャしたりする時間はADMの影響を受けません。これにより、高ADMシステムでは防御側に圧倒的な時間的優位性が与えられることになります。


ADMの戦略的重要性

防衛時間の確保という決定的優位

ADMの最も直接的な戦略的価値は、防衛艦隊を組織するための時間的猶予を大幅に拡大する点にあります。ADM 1.0のシステムでは、攻撃者はわずか10分で主権ハブをリインフォースできますが、ADM 6.0では60分が必要となります。この50分の差は、アライアンスメンバーへの通知、艦隊の編成、戦略的移動、そして防衛態勢の確立に十分な時間を提供します。

特に大規模アライアンスにとって、この時間的猶予は極めて重要です。メンバーは様々なタイムゾーンに分散しており、緊急艦隊の招集には一定の時間を要します。高ADMシステムは、攻撃の初期段階で防衛側に対応の機会を与え、数的優位を確立する時間を提供します。逆に低ADMシステムでは、攻撃者が迅速に構造物をリインフォースし、防衛側が十分な対応を取る前に既成事実を作り出すことが可能となります。

コマンドノード戦における優位性

ADMの影響は、リインフォース段階だけでなく、最終的な主権の帰趨を決するコマンドノード戦においても決定的です。コマンドノードは攻撃されたシステムと同じコンステレーション内に出現しますが、その捕獲時間はシステムのADMによって大きく変動します。

ADM 6.0のシステムでは、攻撃側が各コマンドノードを捕獲するのに24分を要する一方、防御側は常に4分で捕獲できます。この非対称性は、戦術的な柔軟性において防御側に圧倒的な優位性を与えます。防御側は複数のノードを同時に脅かし、攻撃側の戦力を分散させることができます。攻撃側が一つのノードに集中している間に、防御側は他のノードを迅速に捕獲し、進行バーを有利に動かすことが可能です。

さらに、コマンドノードには自然再生機能があり、争われないノードは防御側に有利な方向へゆっくりと進行します。高ADMシステムでは攻撃側の各ノード捕獲に時間がかかるため、この再生機能がより効果的に働きます。攻撃側は複数の前線で同時に圧力をかけ続ける必要があり、戦力の分散を強いられることになります。

脆弱性ウィンドウの短縮

ADMのもう一つの重要な戦略的効果は、構造物の脆弱性ウィンドウの長さを短縮することです。
脆弱性ウィンドウは、領有権ストラクチャがエントーシスリンクによる妨害を受けるようになる期間です。期間外の領有権ストラクチャは妨害を受けつけないため、占領や破壊を一切行えません。アライアンスは脆弱性ウィンドウの中心時間を選択することができ、これは「デフォルトの領有権弱体化時間」、あるいはプライムタイムと呼ばれます。
デフォルトの脆弱性ウィンドウは18時間ですが、これはADM値で除算されます。ADM 1.0では18時間、ADM 2.0では9時間、ADM 3.0では6時間、ADM 4.0では4.5時間、ADM 5.0では3.6時間、そしてADM 6.0では3時間となります。

この短縮は、防衛側の負担を大幅に軽減します。18時間の脆弱性ウィンドウでは、攻撃者は非常に広い時間帯で攻撃を開始できますが、3時間のウィンドウでは攻撃可能な時間が大幅に制限されます。アライアンスは通常、自分たちの「プライムタイム」、つまり最も多くのメンバーがオンラインになる時間帯を脆弱性ウィンドウとして設定します。

例えば、メイン時間が日本時間19時〜23時くらいと想定すると、ADM6.0の場合脆弱性ウインドウの中心を21時と設定すれば、活動時間帯と同じ19:30〜22:30の3時間に脆弱性ウィンドウを設定できます。これが18時間だと中心設定は全く意味がなくなり、深夜4時5時のEUTZでも攻撃されるリスクを抱えることになります。

複数システムの同時防衛

大規模なヌルセクアライアンスは、通常、複数のシステムを同時に管理しています。すべてのシステムで高ADMを維持することは、同時多発的な攻撃に対する耐性を大幅に向上させます。攻撃側は、低ADMシステムを優先的に標的とする傾向があります。これらのシステムは短時間でリインフォースでき、コマンドノード戦でも有利に戦えるためです。

反対に、すべてのシステムで高ADMを維持しているアライアンスに対しては、どのシステムを攻撃しても大きな時間的コストが発生します。これにより、攻撃側は戦略的な選択を迫られ、限られた資源をどこに投入するかの判断が困難になります。複数の高ADMシステムを同時に攻撃することは、人員に過酷なスケジュールを強いることになるため、多くの場合、実行不可能となります。


ADMを向上させる実践的戦略

戦略指標の管理

戦略指標は時間の経過とともに自動的に上昇するため、プレイヤーの直接的な行動は必要ありません。しかし、この指標を最大化するには、主権の継続的な保持が絶対条件となります。一度でも主権が失われると、指標はゼロにリセットされ、100日間かけて築いた防衛力が一瞬で失われます。

戦略指標の管理において最も重要なのは、システムの初期防衛です。主権取得後の最初の数週間は、戦略指標がまだ低く、システムが最も脆弱な状態にあります。この期間中は、他の二つの指標を積極的に上昇させ、全体のADMを可能な限り高く維持する必要があります。特に重要な戦略的拠点や経済的価値の高いシステムでは、最初の35日間で戦略指標レベル3に到達することを目標とすべきです。

また、戦略指標は主権の中断によってリセットされるため、防衛戦における敗北は単にシステムを失うだけでなく、再奪取後に指標を再構築する時間的コストも発生することを意味します。この長期的な影響を考慮すると、主権を失わないための予防的な防衛努力の重要性が理解できます。

軍事指標の効率的な向上

軍事指標は、システム内でのNPC撃破によって上昇します。この指標を効率的に向上させるには、組織的なアプローチが必要です。

最も効果的な方法は、主権ハブに軍事アップグレード(Major Threat Detection ArrayまたはMinor Threat Detection Array)をインストールすることです。これらのアップグレードは、システム内に戦闘サイトを生成し、継続的なラッティング活動の機会を提供します。高ティアのアップグレードほど、より多くのサイトとより速いリスポーン時間を提供するため、軍事指標の上昇速度が加速します。

特にMajor Threat Detection Array Tier 3は、システムのトゥルーセキュリティに応じて、ヘイブンやサンクタムなどの高報酬サイトを大量に生成します。これらのサイトは、ラッティング活動者に高いISK収益を提供するため、自然とプレイヤーが集まり、結果として軍事指標が上昇します。アライアンスは、戦略的に重要なシステムにこれらのアップグレードを優先的に配置し、メンバーの活動を誘導することで、効率的に指標を向上させることができます。

さらに、アライアンスレベルでのインセンティブ制度も有効です。特定のシステムでのラッティング活動に対してボーナスを提供したり、ADM向上キャンペーンを実施したりすることで、メンバーの活動を戦略的に誘導できます。特に新規取得システムや、戦略的に重要だが活動が低調なシステムに対して、集中的な活動促進を行うことが推奨されます。

産業指標の組織的管理

産業指標は採掘活動によって上昇しますが、軍事指標と同様、組織的な取り組みが効果を最大化します。

産業指標向上の基盤となるのは、Prospecting Arrayアップグレードです。これらのアップグレードは、特定の鉱物タイプに特化した鉱石アノマリーを生成します。システムの電力と労働力リソースを考慮しながら、適切な鉱物タイプのアップグレードを選択し、継続的な採掘活動を促進することが重要です。

効果的な産業指標管理には、採掘艦隊の組織化が不可欠です。定期的な採掘作戦を計画し、メンバーに参加を呼びかけることで、短期間で大量の鉱石を採掘し、指標を急速に上昇させることができます。特に、アライアンスが新システムを取得した直後や、ADMが危険なレベルまで低下したシステムでは、集中的な採掘キャンペーンが効果的です。

採掘活動の安全確保も重要な要素です。敵対勢力の襲撃や海賊活動によって採掘船が頻繁に撃破される環境では、産業指標の向上は困難です。採掘艦隊には適切な護衛を配置し、インテリジェンスチャンネルで脅威情報を共有し、必要に応じて即応部隊を待機させることで、安全な採掘環境を維持します。

また、採掘廃棄物がADM計算に含まれないという点に注意が必要です。効率的な採掘作業を確保し、実際に鉱石を回収することが指標向上に直結します。

バランスの取れた指標管理

三つの指標をバランス良く向上させることは、最大ADMを達成するための鍵です。理論的には、軍事指標4、産業指標4、戦略指標4の組み合わせで、既にADM 6.0(最大値)に到達します。これは、すべての指標を最高レベル5まで上げる必要がないことを意味します。

実務的には、戦略指標は自動的に上昇するため、軍事指標と産業指標に注力することが効率的です。例えば、戦略指標が3に達した時点で、軍事指標と産業指標をそれぞれ3まで上げれば、ADM 5.4を達成できます。さらに片方の指標を4に上げれば、ADM 6.0に到達します。

システムの特性と使用パターンに応じて、指標管理の重点を調整することも有効です。採掘活動が盛んなシステムでは産業指標が自然に上昇するため、軍事指標の向上に注力できます。逆に、ラッティングが主な活動のシステムでは、意図的に採掘作戦を組織して産業指標のバランスを取ることが必要です。

キャピタルシステムの戦略的活用

各アライアンスは、一つのシステムをキャピタルシステムとして指定でき、そのシステムには+2のADMボーナスが付与されます。ただし、キャピタルシステムの変更には7日間かかるため、慎重な選択が必要です。

キャピタルシステムボーナスの戦略的な使用方法は、状況によって異なります。最も一般的なアプローチは、アライアンスの主要なステージングシステムをキャピタルに指定することです。これらのシステムは通常、高価値の構造物が集中し、戦略的に最も重要ですが、大規模な艦隊活動の拠点であるため、ラッティングや採掘などのADM向上活動には適していない場合があります。キャピタルボーナスにより、これらのシステムでも高ADMを維持できます。

代替的なアプローチとして、防衛が困難な国境システムや、戦略的に重要だが自然な活動レベルが低いシステムをキャピタルに指定する方法もあります。これにより、本来なら低ADMで脆弱なシステムに人工的な防衛力を付与できます。

キャピタルシステムの選択は、領域全体の防衛戦略と密接に関連しています。敵の侵攻経路、ジャンプブリッジネットワーク、資源の分布、メンバーの活動パターンなど、複数の要因を考慮した上で決定する必要があります。


実戦における防衛戦略

ADMベースの階層的防衛

効果的な領域防衛は、システムのADMに基づいた階層的なアプローチを採用します。すべてのシステムで最大ADMを維持することは理想的ですが、リソースと活動量の制約から、現実的には困難です。したがって、戦略的重要度に応じてシステムを分類し、防衛優先度を設定することが実務的です。

最高優先度のティア1システムには、主要なステージングシステム、重要なジャンプブリッジハブ、スーパーキャピタル建造施設を持つシステムなどが含まれます。これらのシステムではADM 6.0の維持を目標とし、三つの指標すべてを高レベルに保つ必要があります。必要に応じて、キャピタルシステム指定も検討すべきです。

ティア2システムは、重要な資源採取地域や、防衛ネットワークの要所となるシステムです。これらではADM 4.5から5.0程度を目標とします。このレベルでも、攻撃者に対して十分な時間的コストを課すことができ、防衛艦隊を組織する余裕が生まれます。

ティア3システムは、相対的に重要度が低い周辺システムです。これらでも最低限ADM 3.0以上を維持することが推奨されます。ADM 3.0以下のシステムは、攻撃者にとって容易な標的となり、領域全体の防衛ラインに穴を開けることになります。

コマンドノード戦の戦術

高ADMシステムでのコマンドノード戦では、防御側に圧倒的な優位性があります。各ノードの捕獲時間の差(防御側4分、攻撃側24分)を最大限に活用する戦術が重要です。

最も効果的な防衛戦術は、複数のノードを同時に脅かし、攻撃側の戦力を分散させることです。攻撃側が一つのノードに戦力を集中している間に、防御側は他のノードを迅速に捕獲します。攻撃側がその対応に追われている間に、さらに別のノードで活動を開始することで、攻撃側を常に反応的な立場に追い込むことができます。

コンステレーション内の地理的な配置も戦術的に重要です。ノードは同じコンステレーション内の任意のシステムに出現するため、ジャンプブリッジネットワークやゲートの配置を考慮した機動戦略が必要です。防御側は自分たちの領域内で戦っているため、地理的な知識と機動ルートの優位性を持っています。


ケーススタディ:ADMの実践的応用

ケース1:新規システム取得後の急速なADM構築

アライアンスが新しいシステムを取得した直後は、最も脆弱な期間です。戦略指標はゼロから始まり、軍事指標と産業指標も初期段階にあります。この状況で効果的なADM構築を行うには、集中的かつ組織的なアプローチが必要です。

まず、システム取得後24時間以内に、少なくとも基本的な防衛アップグレードを設置します。Minor Threat Detection Array 1とTritanium Prospecting Array 1(または他の適切な鉱物タイプ)は、比較的低コストで設置でき、即座に活動機会を提供します。これらのアップグレードにより、メンバーは収益活動を開始しながら、同時に軍事指標と産業指標を上昇させることができます。

次の1週間は、集中的な活動キャンペーンを実施します。特定の時間帯に大規模な採掘艦隊を組織し、護衛を配置して安全な環境を確保します。同時に、ラッティング活動を奨励し、可能な限り多くの戦闘サイトを消化します。目標は、7日以内に軍事指標と産業指標をそれぞれレベル2に到達させることです。

この初期段階では、一時的なインセンティブプログラムも効果的です。例えば、最初の2週間、そのシステムでの活動に対してアライアンス資金からボーナスを支払うことで、メンバーの参加を促進できます。また、リーダーシップは積極的に参加し、メンバーに模範を示すことも重要です。

21日目(戦略指標レベル2到達)までに、軍事指標と産業指標を少なくともレベル2、理想的にはレベル3に到達させることを目標とします。この時点で、ADMは4.0以上に達し、システムは大幅に防衛しやすくなります。その後は、戦略指標の自然な上昇を待ちながら、他の指標を維持または向上させる、より持続可能なペースに移行できます。

ケース2:低ADMシステムの緊急防衛強化

既存のシステムで、活動の低下によりADMが危険なレベルまで低下している場合、緊急の対応が必要です。特に、近隣で敵対的な活動が増加している場合、低ADMシステムは格好の標的となります。

まず、現状の詳細な分析を行います。三つの指標のうち、どれが最も低いのか、そして最も迅速に向上させられるのはどれかを評価します。通常、軍事指標と産業指標は直接的な活動により比較的短期間で向上させることができますが、戦略指標は時間の経過にのみ依存します。

短期的な対策として、集中活動週間を宣言します。全メンバーに対して、特定のシステムでの活動を優先するよう呼びかけます。可能であれば、高ティアのアップグレード(Major Threat Detection Array 3やProspecting Array 2)を緊急設置し、より多くのサイト生成とより速いリスポーンを確保します。

同時に、防衛態勢を強化します。そのシステムに常駐スカウトを配置し、敵対的な活動の兆候を監視します。即応防衛艦隊を近隣のステージングシステムに待機させ、攻撃の初期段階で迅速に対応できる体制を整えます。

中期的には、そのシステムをキャピタルシステムに指定することも検討します。ただし、変更には7日間かかるため、この期間中は特に警戒が必要です。また、システムの使用パターンを見直し、なぜ活動が低下したのかを分析し、構造的な改善を図ります。安全性の問題、アクセスの不便さ、報酬の不足など、根本的な原因に対処することで、長期的な活動レベルの向上を目指します。

ケース3:大規模攻撃への対応

ADMが高く維持されているシステムに対して、敵アライアンスが大規模な攻撃を仕掛けてきた場合、ADMの防衛的価値が真に試されることになります。

攻撃の初期段階では、ADMによる時間的猶予を最大限に活用します。ADM 6.0のシステムであれば、主権ハブのリインフォースに60分かかるため、この時間内に防衛艦隊を組織し、展開することができます。迅速な通信、事前に準備された艦隊ドクトリン、効率的な集合プロセスにより、攻撃者がリインフォースを完了する前に、数的優位を確立することが可能です。

初期防衛が成功すれば、攻撃者はリインフォースを達成できず、攻撃は失敗に終わります。しかし、攻撃者が十分な戦力を投入し、防衛側を圧倒してリインフォースを達成した場合、戦いは2日後のコマンドノード戦に移行します。

コマンドノード戦では、ADMの優位性がさらに顕著になります。各ノードで攻撃側が24分、防御側が4分という6倍の時間差は、戦術的な柔軟性において決定的です。防御側は、複数の前線で同時に圧力をかけ、攻撃側の戦力を分散させる戦術を採用します。

具体的には、小規模な高機動部隊を複数編成し、それぞれが異なるノードで活動します。攻撃側が一つのノードに戦力を集中させている間に、他のノードを捕獲します。攻撃側がその対応に移動している間に、既に次のノードで活動を開始しているという状況を作り出します。

高ADMシステムでは、この戦術が極めて効果的です。攻撃側は、防御側の迅速なノード捕獲に対応するため、常に反応的な立場に置かれ、主導権を失います。結果として、防御側は数的に同等または劣勢であっても、コマンドノード戦で勝利を収める可能性が高くなります。


本記事は、EVE Onlineの主権システムとADMメカニズムに関する包括的な理解に基づいています。ゲームのメカニクスは継続的にアップデートされる可能性があるため、最新の情報については公式パッチノートとコミュニティリソースを参照してください。

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