https://www.ccpgames.com/news/2025/eve-frontier-to-launch-on-layer-1-blockchain-sui

EVE Frontierは当初、Lattice開発のRedstone(Ethereumベースのレイヤー2ブロックチェーン)上で構築されていましたが、2025年10月8日にMysten Labs開発のSui(レイヤー1ブロックチェーン)への移行が発表されました。

Suiを選んだ3つの理由

シームレスな統合
ブロックチェーン要素をゲームに滑らかに統合できる
スケーラビリティ
EVE Frontierの長期的なビジョンをサポートする拡張性
開発者に優しい環境
初心者から経験豊富なクリエイターまで、アクセスしやすい開発環境

これらはEVE Frontierのゲームプレイの多くの側面をオンチェーンに持ち込むために不可欠です。

Suiチームと緊密に協力し、以下のサポートを提供予定:

  • ビルダー向けの今後のイベント
  • 移行に関する実践的なワークショップ
  • 開発者ガイドの提供

L2(Redstone)からL1(Sui)への移行は、一見逆行的に見えるかもしれませんが、EVE Frontierにとって戦略的な決断です。その理由を解説します。

L1への移行を決めた主な理由

1.アーキテクチャの根本的な違い

Redstone(L2)の制約

  • EthereumベースのL2は、基本的にEthereumのアーキテクチャに縛られる
  • EVMベースのため、オブジェクト指向の設計に限界がある
  • ロールアップの仕組み上、最終的にEthereum L1に依存する

Sui(L1)の利点
Suiのオブジェクト中心のアーキテクチャは、EVE Frontierの歴史的なアイテム中心のアプローチと自然に一致し、数十億のオブジェクト/アイテムを実現できます。 L1として独立しているため、ゲームの要件に最適化された設計を最大限活用できます。

2.並列処理の優位性

従来のL2の課題

  • Ethereum系のL2は、トランザクションの順次処理が基本
  • 多数のプレイヤーが同時にSmart Assembliesを操作する際にボトルネックが発生

Suiの並列実行
Suiはトランザクションの並列実行を可能にし、独立したオブジェクトへの操作を同時に処理できます。これにより、数万の星系で同時に発生する膨大なプレイヤーアクションを効率的に処理できます。

3.レイテンシーとファイナリティ

L2の構造的な遅延

  • L2はL1へのロールアップが必要で、真のファイナリティまで時間がかかる
  • ゲームプレイにおいて、この遅延は体験を損なう可能性がある

Suiの即時性
Suiはほぼ即時のトランザクションファイナリティを提供し、プレイヤーのアクションがリアルタイムで確定します。宇宙戦闘や取引など、瞬時の応答が求められるゲームプレイに最適です。

4.スマートコントラクト言語の表現力

SolidityからMoveへ
動画によると、2026年の移行後、Smart AssembliesはMoveで記述されます。

Moveの優位性

  • リソース指向の設計で、ゲーム内アイテムの所有権と移転をより安全に表現できる
  • デジタル資産の管理に特化した言語設計
  • より表現力の高いスマートコントラクトにより、複雑なゲームロジックを実装しやすい

5.長期的な独立性と持続可能性

CCPのCEOは「時の試練に耐えられる世界」を構築したいと述べています。

L1を選ぶ戦略的意義

  • 他のブロックチェーンへの依存を排除
  • ゲームの要件に応じた独自の進化が可能
  • Suiチームとの緊密な協力により、ゲーム特有のニーズに対応した機能開発が期待できる

6.スケーラビリティのアプローチの違い

L2のスケーラビリティ

  • L1の制約を回避することでスケール
  • しかし、最終的にはL1への依存が残る

Suiのネイティブなスケーラビリティ
Suiのスケーラブルで構成可能なオブジェクト所有権の設計は、EVE Frontierの創発的なプレイヤー経済と数万の星系からなる広大な宇宙をサポートします。プロトコルレベルで設計されたスケーラビリティにより、より根本的な解決が可能です。

まとめ

RedstoneからSuiへの移行は、単なる技術スタックの変更ではなく、「プレイヤーが改変可能で、永続的に進化し続ける宇宙」というビジョンを実現するための戦略的な決断だったようです。

L2は一般的にスケーラビリティのための選択肢ですが、EVE Frontierのような複雑で大規模なゲーム世界には、ゲーム特有の要件に最適化されたL1の方が、長期的には適しているという判断がされたということでしょう。
特に、オブジェクト中心のアーキテクチャ、並列処理、即時ファイナリティという3つの要素は、数十億のアイテムと数万の星系が存在する動的な宇宙を実現するために不可欠になります。

Share this content: