https://marketsforisk.blogspot.com/2025/05/month-end-update-april-2025.html

EVEの多くのプレイヤーの関心事として、「どうやってISKを楽に稼ぐか」というのがあるかと思いますが、今回は 2 trillion(2兆)以上の膨大なISK財産を築き上げ、その界隈では有名なCrodaというプレイヤーのブログに投稿された2025年4月の取引実績と資産分析レポート記事から、EVEのガチトレーダーによる投資戦略と資産管理方法を見ていきたいと思います。

元記事の翻訳は今となっては誰でもすぐ見れると思うので、ここではある程度要約して解説していきたいと思います。

元記事の翻訳と詳細解説

2025年4月の業績概要

2025年4月に12B ISKの利益を上げ、今月は配当を行わなかった。そのため資産は12B ISK増加し、2.254 trillion ISKとなった。今月の成績は良くなかった。休暇と現実世界の用事が邪魔をした。5月はもっと良くなることを願っている。

月間12B ISKという利益額は非常に大きな金額ですが、筆者にとっては「不調」と評価される程度の成果らしいです。

配当戦略と社会貢献活動

筆者は利益の一部を「Oz Tank Show」といったEVE Onlineコミュニティチャンネルに配当として提供しています。これまでに総額388B ISKが配布されており、その内訳は以下の通りです:

  • Oz Tank Show: 260B ISK
  • The Oz Show: 92.5B ISK
  • Declarations of War (ポッドキャスト): 20B ISK
  • Nth_Dimensional Stream: 13.2B ISK
  • Raff_About_It Show: 1.6B ISK

この配当戦略は、単なる慈善活動を超えた意味を持っています。まず、コミュニティへの投資によってEVE Online内におけるビジネスネットワークを広げ、自身の投資環境の改善にもつなげている可能性があります。また、これらの番組のスポンサーとなることで、ゲーム内での知名度や影響力も高まり、EVEプレイのQoL向上にもつなげていると思われます。これは現実でもそうですが、自分が使えるお金しか考えない一般トレーダーと本物の投資家との違いといえるでしょう。

現在、1T ISKが未配布として残っており、新しい事業への投資機会を模索しているとのことです。

スキルファーミング事業

2024年6月にMCT/Omegaセールに参加し、6つのアカウント(Omega4つ、Alpha2つ)を12か月間前払いした。これによって初めてスキルファーミングに参入した。

スキルファーミングは、EVE Onlineの独特な金策メカニズムの一つで、プレイヤーは複数のキャラクターでスキルを訓練し、習得したスキルを「スキルエクストラクター」で抽出して「ラージスキルインジェクター」として他のプレイヤーに販売することができます。

筆者は130B ISKを初期投資として支出し、この投資を資産として計上しました。130B ISKの利益を回収するまでは、スキルファーミングからの収益を純利益として計上しないとしており、投資リスクを適切に管理する姿勢を示しています。

2025年1月に投資回収目標を達成し、現在はスキルファーミングからの全収益が純利益として計上されています。今後3か月間は純利益を得られる予定であり、月間10B ISKの利益目標達成に向けた重要な収益源となっています。

4月の基本取引数値の詳細分析

売上高と利益率の分析

4月の売上高は301B ISKで、一日あたりの売上高は10B ISKでした。毎晩ログインすると10B ISKが増えていることを意味します。

利益率の詳細分析

商品利益は87B ISKで、売上高に対する利益率は29%(87B÷301B)。筆者の目標である25%を上回る好結果とのことですが、スキルファーミングによる上昇要因が含まれている可能性があることも言及されています。

税金と運送費が38B ISKかかり、取引利益は49B ISK、取引利益率は16.2%となり、これは目標の16%をわずかに上回る rare occurrence(めったにない出来事)として評価されています。

取引戦略の詳細解説

筆者の取引戦略は洗練されており、現実世界の投資理論とも共通点が多く見られます:

基本戦略:交易 ジタ(Jita)の売り注文から製品を購入し、他の地域のマーケットハブで販売する戦略を採用しています。これは地域間の価格差を利用した「交易」の典型例です。

製品選択の原則 筆者は以下の基準で取引商材を選定しています:

  1. 消耗品の除外: 弾薬などの消耗品は取引量が多く、競争が激しいため除外。
  2. 製造部品の制限: 製造業者は価格に敏感で、自ら製造できるため競争が困難。
  3. 低供給・低回転商品の重視: 供給が少なく、売却に時間がかかる商品に集中。15日で売れれば問題ないという長期視点を採用。
  4. 価格非弾力的商品の選択: プレイヤーが価格よりも入手の利便性を重視する商品を狙う。
  5. 最低利益の設定: 100M ISK未満の利益は対象外とし、効率を重視。

市場心理の利用 筆者は、プレイヤーがFitを更新する際に「時間を節約するために100M高い価格を支払うことを気にしない」という心理を巧妙に利用しています。また、サブ的なマーケットハブでは、プレイヤーが一つのジャンプ(移動)すら面倒がることを理解し、メイン取引拠点での販売を重視しています。

2025年4月の売上動向分析

市場競争の激化 ドディクシ(Dodixie)とアマー(Amarr)で、特に艦船モジュールとブループリント市場での競争が激化していることが報告されています。

商品別売上状況

  • ブループリント: 競争激化が原因ではなく、市場自体の減速が見られる
  • インプラント: 高価格帯製品へのトレンドにより売上が減少
  • 艦船モジュール: 安定した収入源として機能
  • 採掘装備: 競争により利益率が低下し、ほとんど販売なし

新規事業展開:製造業への参入

筆者は製造業への参入を検討しており、「Sir SmashAlot」というプレイヤーの成功例(月間1T ISK以上の利益!)に触発されています。まだ初期段階ですが、スケーラブルなプロセスの構築を目指しています。

資産構成の詳細分析

筆者の2T ISKの資産構成は以下の通り:

  • 投資用PLEX保有: 117B ISK
  • 販売用在庫: 421B ISK
  • 事業用在庫: 11B ISK
  • 前払いOmega: 0 ISK
  • 市場買い注文: 101B ISK
  • 販売商品: 18.4T ISK(20%引当金367B ISKを差し引き)
  • ウォレット内ISK(キャッシュ): 134B ISK

会計処理の保守性 興味深いのは、筆者が売り注文に対して20%の引当金を設定していることです。これは、競争により価格を下げる必要が生じる可能性を見込んだ保守的な会計処理で、現実世界の企業会計における「貸倒引当金」の概念に類似しています。

売るアイテムに対して20%の引当金を取る。 Eveは売り注文の価値を合計して富を計算するので、100M ISKでアイテムを買って120M ISKで売り注文を出せば富を増やすことができる(この場合、富は20M ISK増える)。 私としては、自分の富は原価で計算してほしい。 私の売り注文の価値は、私のアイテムが売られる前に競合が価格を下げるので、私が注文を下方更新するにつれて、時間の経過とともに下がる可能性が高いことを知っている。 したがって、20%というのは、私の売り注文が売れる前に、全体としてどの程度まで下げる必要があるかについての私の最善の推測です。 理想的な世界では、私は自分の売り注文を自分が買った値段で評価したい。

月間10B ISK利益達成への戦略

筆者が月間10B ISKの利益達成を実現するための戦略は以下の通りです:

  1. 商品利益率の向上: 現在の25%から更なる向上を目指すが、リスクも伴う
  2. スキルファーミングの継続: 今後3か月間の純利益を見込む
  3. ステーション取引の拡大: 現在は限定的だが、拡大の余地がある
  4. 製造業への進出: 時間が確保できれば取り組む予定

デジタル経済における個人投資家のケーススタディ

彼のブログはCCP/PearlAbyssの財務会計報告に関する記事もあり、おそらくリアルでも投資関係者なのかなと思われますが、やはり注目したいのは単純な売買益の追求にとどまらず、コミュニティへの還元や長期的な視点での資産構築など、本当の意味での包括的な経済活動を展開していることです。

これは、デジタル世界においても現実世界と同様の高度な経済活動に近づいている、興味深い例といえるのではないでしょうか。

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