Cradle of War大型アップデートの実装にあわせて、開発者3人による解説動画が公開されました。

  • 司会:FC Swift
  • ゲームデザインディレクター:FC Okami
  • デザイナー:FC Kestrel

約30分の対談で、パッチノートだけでは見えにくい「なぜこの変更をしたのか」がかなり率直に語られています。今回はその内容を日本語でまとめます。


そもそも「大型アップデート」とは?

冒頭では、大型アップデートの位置づけが改めて説明されました。

  • 拡張と拡張の間に入る「区切り」で、今回で5〜6回目です。
  • デザイナーがゲームのメタを見直し、プレイヤーのフィードバックに応える機会になっています。
  • 毎回、艦船バランス調整は必ず入ります。コンテンツや報酬の見直しに加えて、「サイドクエスト」的な大きめの変更が入ることもあります。

FC Swiftのたとえがわかりやすいです。

拡張は砂場に新しい砂や道具を足すもので、大型アップデートは砂場を少し揺さぶって、あえて混乱を起こすもの。

約半年ごとに揺さぶりをかけて、落ち着いたらまた揺さぶる、というサイクルだそうです。

また、「自分には関係ない」と思う変更でもパッチノートは読んでおくべきだと強調されていました。EVEは全体がつながっているので、アンシブレックスの変更も、ヌルセクに行かない人を含めて誰かしらに影響する、という話です。


戦力投射の変更:今回の「メインクエスト」

今回の目玉はもちろん、アンシブレックス・ジャンプブリッジの変更です。

FC Okamiによると、これまでも戦力投射には何度か細かい調整を入れてきました。しかし、狙った効果は出ませんでした。そこで今回は、開発リソースを割いて「大きく、これまでと違うこと」に取り組んだそうです。

キャパシタの導入

  • アンシブレックスには元々キャパシタがありましたが、実質的に何の役割もありませんでした。今回、それに意味を持たせました。
  • 艦船が通るたびにキャパシタを消費します。消費量は艦種ごとの値と、ソブリンティのキャピタルシステムからの距離で決まります。
  • その結果、大艦隊が遠くへジャンプするのはかなり高コストになります。「誰が、どこへ、いつ、なぜ跳ぶのか」という戦略的な判断が増える、と説明されていました。

ACLの撤廃とキャピタル艦の分離

  • ジャンプブリッジのACLによる外部開放がなくなります。大規模連合がマップの端から端まで共有していたブリッジ網は、アライアンス外からは使えなくなります。
  • キャピタル艦とスーパーキャピタル艦は、アンシブレックスの利用から外されます。
    • キャピタル級には独自の長距離移動手段があり、アンシブレックスはサブキャピタル艦のためのものという整理です。
    • 両者を切り分けたことで、それぞれを別々に調整できるようになる、とデザイナー側の利点も語られていました。

数値は夏の公表から変更なし

  • 今年の夏に公開したキャパシタやゾーンの数値は、そのまま実装されています。
  • コミュニティからは「この距離設定は納得できる」といった前向きな反応もありました。計算ツールを作ったプレイヤーもいたそうです。

変わらないもの

  • スターゲートのネットワークは従来どおりです。
  • ジャンプビーコン(サイノビーコン)は引き続きACLで開放できます。物流担当がジャンプフレイターなどを動かす手段は、これまでと同じように使えます。

「これはまだ旅の途中」

FC Okamiは、今回で終わりではないことを何度も強調していました。

  • 調整できるレバーはたくさん用意してあります。
  • 変更の影響を見極めるには、少なくとも半年はかかるのが通例です。
  • まずは焦らず、実際にいろいろ試してみてほしい、と呼びかけていました。

FC Swiftは、今のEVEが「嵐の前の静けさ」のようだとも話していました。大規模戦闘がやや減っていることについては、2つの理由が挙げられています。

  • 大きな変更の前には、プレイヤーが分析を優先して、うかつに動かなくなる。
  • Alliance Tournamentの期間中は、偵察役、FC、ロジのアンカーといった「戦闘を生み出す人たち」がトーナメントの練習に取られる。

海賊の反乱:より速く、より「勝ちに行く」ものへ

反乱の変更は、FC Kestrelが解説しました。

報酬は「勝利」に集約

  • 軍事キャンペーンの採掘では、資源を取り合う関係にもかかわらず、みんながフリートを組んで協力する光景が見られました。これが良い発見だったそうです。
  • 反乱では、Mining AmbushやIce Refinery Heistのように、取り合いの激しいサイトがありました。
  • これらのサイトを少し弱体化して、その分のLP報酬を「反乱の勝利条件」側に移します。
  • その結果、反乱を最後までやり切る動機と、同じ陣営で協力する動機の両方が強まります。

期間短縮と拡散の加速

  • 反乱の期間は14日から7日になります。
  • 腐敗が拡散するステージは4から3に引き下げられます。
  • SmallサイトとMediumサイトの腐敗生成量が増えます。
  • 新サイトとして、Moderate NVY-3の反乱版が追加されます。NVY-3は、Cradle of Warで追加された4種類の新コンプレックスの中で、最も評判の良かったものだそうです。

FOBのタイマー短縮の理由

これは興味深い話でした。

  • 従来の24時間タイマーでは、支配的な勢力が自分たちの時間帯にFOBを強化させていました。そのうえで修理させてはまた強化させる、を繰り返し、他の時間帯のプレイヤーを締め出していたそうです。
  • タイマーを2〜4時間にしたことで、特定の時間帯が攻撃の機会から完全に締め出されることはなくなります。

Large ADV-1のスタティック化

  • 決まった星系に必ず湧くようになります。1つの星系に腰を据えて、そこから反乱を押し広げることができます。
  • 戦略的な使い方も紹介されていました。
    • 補給線を断つために腐敗を広げる。
    • 逆に、自分たちのジャンプフレイターの航路の星系は、鎮圧してバブル(インターディクションバブル)が張られないように守る。

巡洋戦艦サイトはやっぱり楽しい

FC Swiftは、新しい巡洋戦艦サイトが気に入っているそうです。サイト内ではスキルがレベル5の人に「疑似レベル6」のようなボーナスが乗り、飛ばしていてとても楽しいとのこと。

ただし、FC Kestrelからは補足がありました。

  • ボーナスが乗るのは巡洋戦艦スキルだけです。指揮艦スキルやExpedition Command Ships(Odysseus)のスキルは対象外です。
  • それでも、上位版サイトでは指揮艦がトップの選択肢になるだろう、とのことでした。

ワームホールとRampant Drone Fabricator

C1〜C3戦闘サイトの近代化

FC Okamiは、「ワームホールのことはちゃんと気にかけている」と改めて明言していました。

  • まずはC1〜C3の古いサイトから、ビジュアルを一新します。
  • NPCのAIと挙動も見直し、ポクヴェンで行ってきたような近代化を進めます。
  • 狙いは、戦略性、意外性、手応えを少し増やすことです。

ワームホール勢からは「10年ぶりにwikiを更新できる」という反応もあったそうです。「毎回同じ1隻を撃つだけ」という単調さが薄れることに期待しているとのこと。

C1〜C3だけに絞ったのは理由があります。まずこの範囲で、プレイヤーの感触、NPCの挙動、パフォーマンスを確かめるためです。見た目が新しくなった分、パフォーマンスに影響が出る可能性もあるので、時間あたりの稼ぎの変化も含めてフィードバックがほしい、と話していました。

プレイヤー団体への感謝

FC Swiftからは、CSMに加えて、次のようなプレイヤー団体への感謝が述べられました。

  • Faction Warfare Parliament
  • Wormhole UN
  • ポクヴェンのラウンドテーブル

普段はお互いに撃ち合っているプレイヤー同士が集まって、「ここが問題だ」と白書のような資料にまとめて持ってきてくれるそうです。これがデータの裏付けや状況把握にとても役立っている、とのことでした。

FC Okamiも、これがここ数年の開発のやり方を大きく変えたと語っています。

  • 手元には、まだ実装していないアイデアのリストが大量にある。
  • すぐに反映されなくても、引き続きフィードバックを送ってほしい。

FC Swiftは、フィードバックの形式についても触れていました。「この数値を75から1.1にすべき」のような具体案でなくても、「これはつまらない」「気分が悪い」という感想だけで十分に役立つ、むしろそのほうが助かることもある、とのことです。

Rampant Drone Fabricatorは観戦しても楽しい

  • 大手ワームホールグループが「誰が最速でウェーブ100に到達するか」を競っています。Oracleでシステムの穴を突くなど、さまざまな戦術が試されています。
  • FC Swiftは、「新しいシステムを攻略しようとしているときこそ、EVEプレイヤーが最も輝く瞬間」と話していました。
  • 固定の艦や装備で競う「Fabricatorトーナメント」ができたら面白いのでは、という話も出ました。
  • Fanfestのトーナメントの際には、「ウェーブ1000まで開放できないか」という打診があったそうです。担当のFC Rampantは「まずは100で様子を見よう」と答えたというエピソードも紹介されました。

今回のアップデートでは、次の追加も予定されています。

  • 新しい変異プラスミド
  • ハイブリッドドローン用のスキルブック

Fabricatorから出るアイテムの価値が上がるので、間接的にサイトの報酬も上がる形です。


艦船バランス:今回は「バフ中心」

調整対象の選び方

FC Okamiによると、調整する艦は次のように選んでいるそうです。

  • CSMの意見やコミュニティのスレッドなど、フィードバックが第一。
  • そのうえでデータを見る。
  • 最後に、設計と調整に長けたデザイナーの判断を加える。

前回が弱体化中心だったのに対して、今回は性能が振るわない艦の強化が中心です。

「プレイヤーは必ず予想外の使い方をする」

FC Kestrelは、前回のSOE艦の弱体化を例に挙げていました。本来は戦闘寄りの駆逐艦のはずが、ルート回収艦として優秀すぎたため調整が入った、という話です。

「プレイヤーが予想外のことをする」ことだけは確実に予測できる、とのこと。デザイナーとしては、そうした使い方を止めるのか、それとも乗っかるのかの判断が、難しくもあり面白くもある部分だそうです。

個別の艦の話

  • ハーピー
    • 射程ボーナスの1つがなくなりますが、残るほうの射程ボーナスが強化されます。そのうえでトラッキングボーナスが付きます。
    • レールガン型のハーピーは弱体化、ブラスター型は強化という方向です。
  • ヴィジラント、フォボス、デイモス
    • 以前の中型レールガン調整(Ferox系ドクトリンの流行対策)の巻き添えを受けていました。今回、それを埋め合わせる形で強化されます。
  • サクリレッジ
    • FC Swiftは「サクリレッジ大好き勢」を自称していました。
    • 一方でFC Okamiは、「後で少し戻す必要があるかもしれない」と冗談交じりに話していました。
    • さらに、「今年のAlliance TournamentはAmarrがスポンサーだから、Amarr艦を強くしておかないと」という冗談も飛び出していました。

ポクヴェンと経済

ポクヴェンは長期プロジェクト

FC Okamiによると、ポクヴェンはFC Rampantが個人的に力を入れているプロジェクトです。

  • 当初思い描いていた姿にまだ届いておらず、裏側の「配線工事」が必要でした。
  • 今回もその継続的な改善の一環で、大きな変化ではありません。

プレイヤー側の姿勢についても語られていました。ポクヴェンのプレイヤーが「これは強すぎる」と自分たちに不利な提案をすることもあるそうです。

FC Okamiは、ゲームデザインの格言を引用していました。

プレイヤーは放っておくと、ゲームから楽しさを最適化で取り除いてしまう。

そのうえで、EVEプレイヤーはそれに気づいて、「緊張感や手応えを取り戻そう」と言える点が素晴らしい、と評価していました。

Babarogaの製造コスト削減

経済面で大きいのが、Babarogaの製造コスト削減です。

  • The Oz Reportのコミュニティでは、アンシブレックスよりもこちらのほうが盛り上がっていたそうです。トリグラビアン艦の製造素材のボトルネックが解消されるためです。
  • Babaroga登場から拡張2回分が経過しました。FC Okamiは、十分に様子を見たので変更するタイミングだと説明していました。

宣戦布告費用は5倍に

最後に取り上げられたのが、宣戦布告費用の引き上げです。100M ISKから500M ISKになります。

背景は次のとおりです。

  • CSMやハイセクのプレイヤーから、問題提起がありました。
  • ストラクチャーを破壊して落ちるQuantum Coreの価値が高いため、恨みや領土争いではなく、純粋な金銭目的で宣戦布告されている、という指摘です。
  • 今回の引き上げで、小規模で迷惑な戦争が減ることが期待されています。1隻失っただけで赤字になるので、次の「弱い標的」を狙う前に考え直すはず、という見立てです。

FC Okamiは、宣戦布告の仕組みそのものも、いずれ本格的に見直したいと話していました。時期は約束できないとのことです。

戦力投射については、今回の変更後に半年から1年ほど様子を見るそうです。そのうえで、ほかの課題に取り組んでいきたいという考えでした。


3人が一番楽しみにしている変更は?

締めくくりの質問に対する答えは、全員が同じでした。アンシブレックスの変更です。

  • FC Okami:デザインチームの大変な労力と、コミュニティとの難しい議論を経た「愛の結晶」なので、どう受け止められるか楽しみ。
  • FC Kestrel:2018年にCSMだった頃から、アンシブレックスに文句を言っていたそうです。
  • FC Swift:さらに昔の、ジャンプブリッジがモジュールだった時代から文句を言っていた「EVEおじさん」だと自称していました。

FC Swiftからは、豆知識も一言ありました。正しくは「Ansiblex」で、「Ansiplex」ではないとのこと。社内でも間違える人が多いそうです。今後アンシブレックスは、自分たちのホーム周辺を移動するためのものになり、マップの東西南北を一瞬で横断する手段ではなくなります。

最後にFC Okamiは、こう呼びかけていました。

満足しているプレイヤーの声は、なかなか開発に届かない。アンシブレックスの変更のおかげで良い戦いが生まれたなら、ぜひその話も聞かせてほしい。


まとめ

動画全体を通して印象的だったのは、開発陣がプレイヤー団体のフィードバックを非常に重視していることです。そして、今回の変更を「完成形」ではなく「長い取り組みの一歩」と位置づけていることでした。

アンシブレックスの変更については、半年ほどかけて影響を見極める方針です。ヌルセクの勢力図がこれからどう動くのか、じっくり追いかけていきたいと思います。

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