ロシア語圏のEVE配信者Kraken氏のポッドキャスト配信から、Imperium(Goons)のLowsec展開(デプロイ)をめぐる議論をまとめました。ゲストはLowsecで活動する当事者たちで、Nullsec側からはなかなか見えない「Lowsecの事情」がよく伝わってくる内容になっています。

元動画:https://www.youtube.com/watch?v=nKZqsqPjgIs
※ロシア語の自動字幕をもとに要約しています。固有名詞の聞き取りなど、一部に不確かな箇所がある点はご了承ください。

出演者

  • Kraken(ホスト/Zerg系コミュニティ)
  • Tari(DarkSide.リーダー)
  • Fox、Roflan(Snuffed Out所属)

Roflan氏は「自分たちはただのF1モンキー」と笑いながら、アライアンスの公式見解ではなく個人の意見として話している点を最初に断っていました。

何が起きているのか

ImperiumがLowsecへのデプロイを発表しました。標的になっているのは、Amamake周辺の公共インフラです。収録の時点で、公共のSotiyoとTatara(どちらもHydra系の構造物)にはすでにリーンフォースが入っており、Keepstarに手が付くのも時間の問題と見られていました。

配信の当夜にはGoonsのFortizarがアンカー予定で、翌日にはAmamakeで重要構造物のアーマータイマーが来る、という緊迫した状況での収録です。

当事者たちの第一声

Fox氏の感想は率直でした。「自分では関わりようのない決定のせいで金を失うのは、気分のいいものじゃない」。AmamakeのインフラはLowsecの住人なら誰もが使っていたそうです。

元建造業者のRoflan氏は、最盛期には月30隻前後のドレッドノートを回していたといいます。今はその商売から手を引いているので直接の打撃は小さいものの、「面白い戦闘がいくつか起きるなら、それはそれで歓迎」という前向きなスタンスでした。

Amamakeとはどんな場所か

Tari氏によれば、Amamakeは長年にわたりLowsecで最もにぎやかな場所です。Amarr/MinmatarのFW(ファクションウォーフェア:派閥戦争)の中心地で、近くのTurnurにはDeepwater Hooligansが住み、Minmatar系の勢力やEscalatesなど、中規模の集団がひしめく「ごった煮」のような宙域だそうです。

DarkSide.自体はAmamakeが落ちても致命的な影響は受けないとしつつ、ここがLowsecの活動の中心であることに変わりはない、と話していました。

Goonsの真の狙いは「海賊FW」?

「なぜパワーブロックがわざわざLowsecに?」という疑問に、出演者のひとりがひとつの仮説を出していました(本人も「あくまで推測」と前置きしています)。

鍵は海賊FW、つまりAngel側とGuristas側のFWです。

  • FWは参加のハードルが低く、スキルも投資もほぼいりません。安い船でビーコンを回すだけでISKが手に入ります。
  • 通常のFWはそれほど儲からないものの、海賊FWは別格で、マルチボクサーにとっては「とんでもない金」になるといいます。
  • 実装当初、どちらの海賊FWもFraternity系の中国人プレイヤー(Chaos Arbiters[CACX]など)が押さえていました。
  • その後、Guristas FWはImperium側の中国人プレイヤーが掌握。中国のプライムタイムにはアーマー系のフルフリートが出てくるそうです。
  • 一方、Angel FWは今もFraternity側の勢力下にあります。

そこにブリッジ(ジャンプブリッジ)の仕様変更が入りました。以前のFraternityは、ホームからブリッジ経由で10ジャンプ未満、10分ほどでAngel FW宙域にTitanで乗り込めたため、正面から戦うのはほぼ不可能だったそうです。変更後はブリッジの射程が足りず、ゲートを走ればバブルで止められ、Titanブリッジを使えばジャンプ疲労がたまります。増援が届くまでの時間は大きく延びました。

Tari氏もこの点を裏付けていました。先週末、DarkSide.がFraternity側のMetenoxを削りに行った際、Fraternityは中国TZにもかかわらず集結に40分以上かかったそうです。その間にDarkSide.は自分たちのMetenoxをアンカーまで進めていました。

この仮説に沿うと、構図は次のようになります。

ブリッジのナーフでFraternityの防衛力が落ちた今こそ、Angel FWを奪い取る好機。「Lowsec遠征」を大義名分に、PvP勢にはKeepstar戦という遊び場を、ビジネス勢にはFWの利権を。Goons内部では誰も損をしない。

出演者は「結局はビジネス。中国人勢力同士の利権の奪い合いだ」と言い切っていました。

さらに、デプロイのタイミングが11月10日のパッチと重なっている点も指摘されていました。このパッチではFW関連のファクションリグや「星系の占領」といった要素が予告されていますが、詳細はまだ見えていません。「Goonsは何か内部情報を持っているのでは」という声も出ていました。

Hydraと「Keepstarの持ち主は切り捨てられる」説

Amamakeの公共Keepstar群を運営しているのはHydraです。Hydraはアライアンス・トーナメント(AT)を何度も制した古参集団で、15〜20年選手のメンバーを抱え、ISKもコネもあると語られていました。

出演者の間では、「パワーブロックのすぐそばに、何の取り決めもなくキープスターを置けるはずがない」という見方が共通していました。チャットではHydraを「(永世中立国の)スイス」にたとえる声もあったそうです。だからこそ今回の攻撃は、「その取り決めが崩れた(=切り捨てられた)のでは」とも読めます。

Hydraの代表者BlueMelon氏は、ロア調の長文をRedditに投稿しています。内容は要するに「団結せよ、資産の避難に備えよ」というもので、現時点ではおおむね避難が進んでいる状況のようです。

Amamakeの経済規模

配信では「Amamake Economic Report」というサイトも紹介されていました。出所の信頼性は不明としながらも、こうした数字が挙がっています。

  • 1か月の取引総額:約1.2T ISK
  • 各種ボーナス込みの利益:約148B ISK
  • 売れ筋上位:Large Skill Injector、ナノリペアペースト など

Lowsecでの建造がNullsecより有利な理由は、FWの建造ボーナス、Lowsec向けリグ、そしてJitaなどの交易ハブに近いことによる物流の楽さです。サブキャピタルとキャピタルについては、Nullより儲かるとはっきり語られていました(スーパーキャピタルはLowsecでは建造できません)。

「Lowsec民は脆い」――Asher発言への反応

Imperium側から「Lowsecの連中は脆い(fragile)」という趣旨の発言が出たことも話題になりました。出演者の反応は冷ややかで、「初日から脆いと言うのは早すぎる」「いつものプロパガンダ」という声が上がっていました。

あるゲストは、Lowsecには「ヌルで寛(くつろ)ぐのではなく、本気でこのゲームを遊びたい人が集まる」と語り、個人的な意見と前置きしたうえで「LowsecのほうがNullよりずっと面白い」と言い切っていました。

Lowsec連合は実現するのか

「Lowsecの全勢力が一つの艦隊でImperiumに立ち向かう可能性は?」という問いに、ゲストの答えは「正直、低い」でした。

  • Lowsecは「誰もが誰かと揉めている蛇の巣」のような場所です。
  • 仮にパワーブロックの一つがLowsecに入れば、他のパワーブロック(Fraternity、Initiativeなど)も乗り込んで三つ巴になり、Lowsec勢は置き去りになるのでは、という見方が出ていました。
  • 大連合ができたらできたで、3,000〜5,000人規模のTiDi地獄になります。「そもそもTiDiを避けてLowsecに来たのに」という本音も漏れていました。

結局のところ鍵を握るのは、Lowsecの二大勢力であるSnuffed OutとDeepwater Hooligans(実質的にSeditionと一体)です。両者が一時的にでも斧を収められるかどうかで、展開が大きく変わりそうです。

なお、Archon氏はHurricaneのフリートで呼びかけを始めていて、収録中にも構造物へ攻撃を仕掛けたという速報が入っていました。

なぜパワーブロックは公共インフラを嫌うのか

議論の中で、ある出演者がもう一つの動機を挙げていました。

  • スーパーキャピタルの「逃げ場」をなくすため。Lowsecにスーパーを停泊できる公共Keepstarがあると、パワーブロックに不満を持つプレイヤーはスーパーごと離脱できてしまいます。逃げ場がなくなれば「スーパーを売るしかない」状況になり、人を縛りつけておけます。
  • 製造業の競合を潰すため。ヌルの製造業者はLowsecのボーナスもなく、Jitaまでの物流にも苦労します。一方のLowsec勢は、ジャンプフレイター1回で市場に出せます。

過去にPerimeterの公共構造物が撤去された一件を思い出す、という声もありました(もっとも、あのときは先に設置ルールが変わってからの撤去だった、という訂正も入っています)。

FWとボットの問題

話題はボットにも及びました。ある出演者は、規約違反が特に多い活動としてFWとアビサル(フィラメント)を挙げています。理由は「入口が簡単すぎて、自動化しやすい」から。アルファアカウントをいくらBANしても、すぐに新しいアカウントが作られてしまいます。

「出てくるNPCをもっとランダムにして、人の手でなければ倒せないコンテンツにしてほしい」という提案の一方で、「AIの時代に、人間と見分けがつかないボットをFC(Fenris Creations:元CCP)が捕まえられるのか」という悲観的な見方も出ていました。

根本原因は開発側にある?

終盤は開発への不満が噴き出しました。

  • 「プレイヤーはルールに従って遊んでいるだけ。ルールを書くのは開発者だ」
  • 第二次Bee War以前、Goonsは2万人規模でもDelve一つの地域に収まっていました。「PvPがしたければDelveに行けばいい」という分かりやすさがあったそうです。
  • 問題が本格化したのはSkyhook導入とその仕様の巻き戻し以降。一つの地域では資源が足りなくなり、パワーブロックがあらゆる方向へ広がり始めた、という見立てです(Initiativeだけは今でも一地域に収まっていて驚き、とのこと)。
  • CSMの過半がパワーブロックの代表で占められ、「開発を監視するはずの機関が、開発に指図している」という批判も出ていました。

とはいえ明るい話題もあります。次のパッチではキャリアの調整が入る見込みで、「アノマリーで一窓でキャリアを回すプレイヤーがまた見られるかもしれない」と期待する声がありました。

現地からの生中継

配信中、Krakenはたびたび現地のローカルとD-Scanを映していました。

  • ローカルは一時400〜500人に膨れ上がりました。
  • D-ScanにはTyphoonが198隻、Guardianが28隻ほど。おおむねフルフリート2つ分です。
  • TataraとSotiyoが次々とリインフォースされ、Lowsecの名物プレイヤーBumbled氏の構造物まで撃たれて「なんてことを」と嘆く場面もありました。
  • Imperiumはドレッドも持ち込んでいて、キャピタル戦へのエスカレーションも視野に入れているようです。

Tari氏からは、同日にDarkSide.がWinterCo(Fraternity側)とキャピタル戦を行った話もありました。DarkSide.約80人に対してWinterCo側は約190人。それでもISKの損失はほぼ五分五分だったそうです。

今後の見通し

  • Firesideの情報によれば、今回のデプロイは約1か月の予定で、イベント(パッチ)までLowsecで活動するようです。
  • 出演者の多くは「ステージング周辺のジャンプレンジ内を1週間ほどで食い尽くすのでは」と見ていました。FW目的なら、FWのないLowsecに手を出す理由は薄いという意見もあります。
  • Lowsecの各アライアンスは、マップの反対側にいる勢力まで含めて資産の避難を宣言しています。生産を止め、パイロットの資産を守る動きが広がっているそうです。

ホストのKraken自身は、大きなキャピタル戦が起きるならドレッドを一隻、片道切符で放り込みたいと話していました。ゲストたちも「Lowsecは何があっても生き残る」と締めくくっています。

ちなみに配信の最後には、Kraken本人のキャラクターがGoonsに撃墜されるというオチが付きました。「レポーターが殺された!」という叫びで幕を閉じる、なんともEVEらしいエンディングです。

まとめ

今回の議論から見えてくるのは、ImperiumのLowsec遠征が単なる「コンテンツ探し」ではないかもしれない、という点です。海賊FWの利権、スーパーキャピタルの逃げ場、Lowsec製造業との競合など、複数の経済的な動機が重なっている可能性が語られていました。

一方で、Lowsec勢がどこまで抵抗できるかは、Snuffed OutとDeepwater Hooligansの判断、そしてKeepstarの持ち主であるHydraが防衛にスポンサーを出すかどうかにかかっています。

11月10日のパッチの中身も含めて、今後数週間のLowsecから目が離せません。

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