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【SeAT開設その1】SeATの機能と導入に必要な知識編

【SeAT開設その1】SeATの機能と導入に必要な知識編

SeAT(A Simple, EVE Online API Tool and Corporation Manager)は、EVE Onlineのコーポレーション運営を効率化するために有志によって開発されたサードパーティーの管理ツールです。複雑なコーポレーション運営において、メンバー管理やアクセス権限の設定、資産管理など、さまざまな業務を一元化して管理できる強力なツールとして、多くのコーポレーションで活用されています。


●コーポレーションセキュリティの要

EVE Onlineのコーポレーション運営において、最も重要な課題の一つがセキュリティ管理です。スパイ活動や内部からの破壊工作は、長年の努力で築き上げたコーポレーションを一瞬にして崩壊させる可能性があります。SeATは、このようなリスクから組織を守るための強力なツールとして開発されました。

スパイ対策としてのSeATの重要性

EVE Onlineでは、敵対するコーポレーションやアライアンスがスパイを送り込み、内部情報を収集したり、資産を持ち出したり、内部から破壊工作をするという事例が数多く報告されています。SeATは、これらのリスクに対する実践的な防衛手段を提供します。

メンバーの詳細な背景チェック

SeATを使用することで、新規メンバーの以下の情報を詳細に確認できます:

  • 過去の所属コーポレーションの履歴とDMのやりとり
  • ALTキャラクターの把握
  • 資産の変動履歴と取引パターン
  • 他のキャラクターとの関連性

これらの情報を分析することで、不自然なキャラクター育成パターンや、スパイキャラの典型的な特徴を見分けることができます。

怪しい活動のモニタリング

SeATは、以下のような不審な活動を調査することができます:

  • 通常とは異なる時間帯での活動
  • 大量の資産移動や不自然な取引
  • 外部メンバーとの異常な接触パターン
コーポシーフ対策

コーポレーション資産の窃盗(コーポシーフ)を防ぐため、SeATは以下の機能を提供します:

  • コーポハンガーへのアクセス履歴
  • 資産移動の完全なログ記録
  • 取引履歴の追跡と分析

●導入に必要な技術的な基礎知識

このようにSeATはコーポレーション運営者には必要不可欠といってよいほど便利なツールですが、その導入には一定の技術的な知識が必要です。この記事では、SeATを導入する前に理解しておくべき基礎知識について、具体例を交えながら解説していきます。

1. VPSに関する基礎知識

VPSとは何か

SeATはWebアプリなのでインターネットで公開されるWebサーバーが必要です。つまり、タダで使える代物ではないことが大前提です。自宅にサーバーあるという特殊な人でないかぎりはVPSを借りるのが一般的です。

VPS(Virtual Private Server)は、1台の物理サーバーを仮想的に分割して作られた、専用サーバーのような環境です。
よくホームページのホスティングサーバーと混同する人がいますが、これらはWebサーバーの一部の容量をシェアするだけですが、VPSは自分専用のコンピュータを借りているようなものと考えてください。つまり、OSやアプリケーションから自分で設定する必要があります。

必要な知識レベル

VPSについては、以下のような基本的な理解が必要です:

  • サーバーのスペック選択の考え方
    • CPU、メモリ、ストレージの関係性
    • 必要なリソースの見積もり方
  • IPアドレスの概念
    • グローバルIPとプライベートIPの違い
    • 固定IPの重要性
  • サーバーの料金体系
    • 月額課金と従量課金の違い
    • 追加料金が発生するケース

SeATの場合、最低でも2GB(推奨4GB)のメモリと、2コア以上のCPU、50GB程度のストレージが必要です。これらの数値が何を意味するのか、基本的な理解があると選定がスムーズです。

2. LinuxとWebサーバーの基礎知識

Linuxの基本

SeATはLinux環境/Windowsで動作しますが、Webサーバーで一般的なLinuxをお勧めします。
またOSにかかわらず原則コマンド操作となりますので、以下操作の基本的な理解が必要です。:

  • ディレクトリ構造の基礎
    • ルートディレクトリ(/)から始まる階層構造
    • 重要なディレクトリの役割(/etc, /var, /home など)
  • ファイルのパーミッション
    • 読み取り(r)、書き込み(w)、実行(x)の概念
    • 所有者、グループ、その他のアクセス権
  • プロセス管理
    • サービスの起動/停止の方法
    • バックグラウンドプロセスの概念
Webサーバーの基本

SeATはWebアプリケーションとして動作するため、以下の理解が役立ちます:

  • HTTPの基本的な仕組み
    • リクエストとレスポンスの流れ
    • よく使うポート番号(80, 443)の意味
  • Webサーバーの役割
    • クライアントからのリクエスト処理
    • 静的/動的コンテンツの配信
  • データベースの基本概念
    • データの永続化の重要性
    • バックアップの必要性

3. SSHとコマンドラインの知識

SSHとは

SSH(Secure Shell)は、暗号化された安全な通信を提供するプロトコルです。VPSに接続する際の標準的な方法です。

必要なコマンドライン知識

以下のような基本的なコマンドの使い方を理解している必要があります:

bashCopy# ディレクトリ操作
cd /path/to/directory # ディレクトリの移動
ls -la # ファイル一覧の表示
mkdir newfolder # ディレクトリの作成

# ファイル操作
cat filename # ファイルの内容表示
nano filename # テキストエディタでファイルを編集
cp source dest # ファイルのコピー
mv source dest # ファイルの移動/名前変更

# システム管理
sudo command # 管理者権限での実行
systemctl status service # サービスの状態確認
apt update # パッケージ情報の更新
ターミナルソフトの使用方法

Windows環境からSSH接続には、コマンドプロンプト以外に便利で使いやすいTeratermやPuTTYといったツールがあります:

  • 接続設定の保存方法
  • 公開鍵認証の設定方法
  • セッション管理の基本
  • ターミナルの基本的な操作方法

これらも基本的な操作方法を理解している必要があります。

4. SSLの基礎知識

SSLとは

SSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)は、Webサイトとブラウザ間の通信を暗号化するプロトコルです。Webでは現在必須となっていますので、SeATでもユーザーの情報を安全に扱うために入れたいところです。

必要な知識レベル

以下のような基本的な理解が必要です:

  • SSL証明書の役割
    • 通信の暗号化
    • サイトの正当性証明
  • Let’s Encryptの基本的な仕組み
    • 無料のSSL証明書発行サービス
    • 証明書の自動更新の仕組み
  • ドメイン名とSSLの関係
    • ドメイン名の取得方法
    • DNSレコードの設定方法

5. Dockerの概念

Dockerとは

Dockerは、アプリケーションとその実行環境を「コンテナ」という単位で管理するプラットフォームです。詳細は省きますが、このコンテナという概念のおかげでWebアプリ開発の敷居はかなり下がりました。最新のSeATは、このDockerを使用して簡単に導入できるように設計されています。

必要な知識レベル

以下のような基本的な理解が必要です:

  • コンテナの概念
    • 仮想化との違い
    • コンテナの独立性
  • Docker Composeの基本
    • 複数コンテナの管理
    • YAML形式の設定ファイル
  • Dockerのライフサイクル
    • イメージのプル(取得)
    • コンテナの起動/停止
    • データの永続化
具体的な例

SeATでは、以下のようなDockerコマンドを使用します:

# 最新のdockerhubイメージにアップデートする
docker compose -f docker-compose.yml -f docker-compose.mariadb.yml -f docker-compose.traefik.yml pull

# dockerコンテナの停止
docker compose -f docker-compose.yml -f docker-compose.mariadb.yml -f docker-compose.traefik.yml down

# dockerコンテナの起動
docker compose -f docker-compose.yml -f docker-compose.mariadb.yml -f docker-compose.traefik.yml up -d

# 不要なimageのクリーンアップ
docker image prune -f

これらのコマンドが何を意味するのか、基本的な理解が必要です。


まとめ:どこまでの知識が必要か

SeATの導入に必要な知識レベルは、「完全な初心者」から「経験豊富なシステム管理者」までの間で、以下のような位置づけになります:

必須レベル:

  • Linuxのコマンドラインで基本的な操作ができる
  • SSHでサーバーに接続できる
  • 設定ファイルの編集ができる
  • トラブル時にログを確認できる

あると便利なレベル:

  • Dockerの基本的な仕組みを理解している
  • Webサーバーの設定ができる
  • ファイアウォールの設定ができる
  • SSLの設定ができる

ただし、これらの知識がすべて完璧である必要はありません。導入手順を丁寧に追いながら、分からないことを一つずつ学んでいく姿勢があれば、十分に導入は可能になっています。

EVEOnlineの最大の特徴はこのようにAPIを駆使した各種ツールの開発と活用にあります。
コーポ運営をしている方はぜひ導入にトライしてみください!

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