
2026年7月17日、FC Okami氏がdevブログ「The Future of Force Projection」を公開しました。今回のテーマは、null secの勢力図を長年悩ませてきた「Force Projection(戦力投射)」問題。ジャンプブリッジ網=アンシブレックスに大きくメスが入る内容で、9月のメジャーアップデートでの実装が予告されています。
Force Projectionとは
記事ではまず前提として、Force Projectionを「機動力・到達距離・即応性を組み合わせた、ある勢力が本拠地から離れた場所にどれだけ軍事力を及ぼせるかを示す指標」と定義しています。ここ数期の拡張を通じて、CSM経由やプレイヤーからのフィードバックで最も多く挙がる課題がまさにこれだったとのことです。
問題視されているのは、強大な勢力が離れた地域の紛争にあまりに素早く介入できてしまう点。結果として新興勢力がnull secに足場を築くのが極めて困難になり、生き残るには大手に加わるしかなくなる→巨大組織のモノカルチャー化が進む、という悪循環が指摘されています。
CCPとしては、新興・小規模勢力にも競争のチャンスがある環境こそ健全なEVEだと考えており、今回はまずアンシブレックスのジャンプネットワークによる長距離Force Projectionから手を付ける方針です。
なぜ今、これほど大きな変更に踏み切るのか
CSM20からの問いかけに答える形で、Okami氏は狙いを次のように説明しています。
- 新興・小規模勢力が伸びる余地を作ること
- 大組織側には追加の兵站的プレッシャーと制約を課すこと
- 長距離Ansi投射はすでに「解けてしまったパズル」であり、再びプレイヤーに考えさせる余地を取り戻したいこと
- 大帝国を維持することには、それに見合った兵站的な摩擦(フリクション)があるべきという哲学
現状のアンシブレックスは強力すぎて、意味のある緊張感や駆け引きを生めていない、という評価です。ただし日常的なnull sec生活の足としての利用にはできるだけ影響を与えないようにする、というバランスも意識されています。
これは組織規模のパラダイムシフトを狙ったものでもあり、大小それぞれの「最適な組織サイズ」へと勢力図がシフトしていくことを見込んでいるとのことです。
なぜジャンプ疲労(Jump Fatigue)方式を採用しなかったのか
CSMから当初提案されていたのは、距離に応じてジャンプ疲労を蓄積させる案でした。既存の仕組みを流用でき実装コストも低いというメリットはあったものの、Okami氏はこれを採用しませんでした。理由は主に2点。
- 個人の行動を強制的に制限する系統のゲームデザイン(いわゆるスタンロック的な仕組み)を好まないという開発哲学
- UXの複雑さ:疲労値が個人ごと・移動距離ごとに変わるため、フリート内で各員の疲労タイマーがバラバラになり、「いつ次のジャンプができるか」を全員分管理するのが非常に煩雑になる
さらにPhoebeリリース期のジャンプ疲労導入の経験も踏まえ、「投射に一定の緊張感は生んだが根本解決にはならず、移動そのものを過剰に罰する結果になった」という反省があるとのことです。
新方式:「アンシブレックス・キャパシタ」
代わりに採用されたのが、構造物が持つキャパシタ(capacitor)を活用する仕組みです。
- 艦がアンシブレックスをジャンプする際、アンシブレックス側のキャパシタを消費する
- 艦が大きく強力なほど消費量も大きい
- キャパシタが0になると、回復するまでそのゲートは誰も使えなくなる
- キャパシタは艦と同様に時間経過で自然回復する
この方式のメリットは、管理の負担が個々のプレイヤーではなく「アンシブレックスというひとつの構造物」に集約される点。将来的にはキャパシタの回復速度や総量を上げる新種のアップグレード、逆にキャパシタをドレインして無力化する新戦術など、幅広い設計の余地が生まれるとしています。なお既存のマス(質量)系統とは切り離した新しい専用パラメータで管理し、既存艦のバランスに影響しないよう配慮するとのことです。
ゾーン制で「日常利用」と「長距離投射」を切り分け
ジャンプ運賃(キャパシタ消費コスト)は、sov本拠地からの距離に応じたゾーン制で変動します。
- ゾーン1(本拠地から0~5ly):運賃0。本拠地周辺は今まで通り自由に移動可能
- ゾーン2~5:本拠地から離れるほど運賃が段階的に上昇
これにより日常的なsov圏内での移動にはほぼ影響を与えず、長距離のForce Projectionにだけピンポイントで負荷をかける設計になっています。今後の調整弁としても機能する想定です。
その他の変更点
- キャピタル・スーパーキャピタルはアンシブレックス通行不可に:それぞれ専用のジャンプ手段があるため、設計領域を明確に分離。あわせてサイノジャマーの設置数上限をシステムあたり3基→1基に削減し、キャピタル艦のジャンプシステムの戦略的重要性を高める
- ACL(アクセス制御)をアライアンス限定に変更:現在は柔軟な運用が可能なACLだが、組織規模の拡大を助長している面があるため、アライアンス単位に制限
- 液体オゾンの消費撤廃:キャパシタ制によるジャンプレート制限があるため、オゾン消費という追加の複雑さは不要と判断(市場への影響は注視・調整予定)
- 通行料(トール)システムの撤廃:アライアンス限定利用になるため不要に
- 初期実装ではローキュアルのみ例外的に通行を許可する予定
実装時期と今後の姿勢
これらは2026年9月のメジャーアップデートでの実装を目指していますが、開発の進捗次第で変更もあり得るとして、Discordや今後のブログで随時報告するとしています。
経済面への影響(sov空間の資源分布など)も注視しており、sov資源の再調整も近い将来行う予定。変更前には少なくとも1か月前に新しい数値を告知するとのこと。また組織の移転を助けるため、Equinox期に実施したような「リグ恩赦(rig amnesty)」的措置の検討も示唆されています。
リリース後は隔週でのチェックインを約束しており、最低半年ほどは現行チューニングのまま運用し、メタへの影響を見極めたい考えです。UI/UXは初期段階では簡素な実装になる見込みで、これは今後改善していく方針とのことです。
所感
Force Projection問題は長らく議論されてきたテーマですが、疲労系ではなく構造物側のキャパシタに負荷を寄せるという設計は、プレイヤー個人の負担を増やさずに組織規模へプレッシャーをかけるという意味で興味深いアプローチだと感じます。ゾーン制による「本拠地周辺は自由、遠征は重い」という切り分けも、日常のnull sec生活を壊さない配慮が見えます。
9月の実装以降、大型アライアンスがどうロジスティクスを組み替えてくるか、小規模勢力にとって本当にチャンスが広がるのか、引き続き注目していきたいところです。
出典:EVE Online公式ニュース「The Future of Force Projection with FC Okami」(2026年7月17日) https://www.eveonline.com/news/view/the-future-of-force-projection-with-fc-okami
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