たびたび「Craken V」の動画内容が面白かったので、再度翻訳記事を作成しました。


はじめに

Twitchでは長らく視聴者数の水増し(いわゆる”ボット視聴者”)問題が議論されてきましたが、EVE Online配信カテゴリもその例外ではないかもしれません。

今回Craken Vは、「もしかしてこの嵐、EVE Onlineコミュニティにも入り込んでいるのでは?」という疑問を持ち、独自調査に乗り出しました。

「この動画で述べることは、確実に証明しきれないデータをもとにしています。各自が自分なりの結論を出してほしい」

とのディスクレーマーを冒頭に置きつつ、コミュニティに向けて問題提起する内容になっています。


EVE Online配信コミュニティの特殊性

EVE Onlineのストリーマーコミュニティは他のゲームとは一線を画す特徴があります。現在のメタでは、ストリーマーはそれぞれAllianceに所属しており、ファンベースのほかにも同コープメンバーが存在します。彼らは自分たちのリーダー(ストリーマー)を守るために何でも行います。

その典型例として、ある配信者グループ(”Dichi”と呼ばれるコレクティブ)が、対立するコンテンツクリエイターへの「情報的防衛ガイド」を内部で配布していたことが明かされました。その内容は次のようなものです。

  • 関係のない動画には一斉にチャンネル登録・高評価を押す
  • 対象ストリーマーの新規動画には低評価し、チャンネル登録を解除
  • コメントは残さない(コメントを残すとアルゴリズムが動画を拡散してしまうため)

この手法によってコンテンツクリエイターのモチベーションを削ぎ、実質的に活動妨害を狙っています。


EVE Online Twitchストリーマーの規模分類

Craken Vは、EVE Online Twitchストリーマーをおおよそ3つのカテゴリに分類しています。

  • スモール:同時視聴者20名未満。新参ストリーマーや配信頻度が低いもの
  • ミドル:同時視聴者20〜50名。一定のコミュニティを持つ定着済みのストリーマー
  • トップ:同時視聴者100名超。このレベルは10名前後しかいない

EVE Online配信カテゴリ自体がTwitch全体の中でも非常に小さなコミュニティであり、ストリーマーは互いに顔見知りで、視聴者も主要なコンテンツクリエイターをほぼ把握しているような環境です。


疑惑の発端:不審なアノマリー

数カ月前、Craken Vは配信カテゴリ内でいくつかの「不自然な異常」を観測し始めました。最初の疑惑はBloodKhanidというストリーマーを巡るものです。

拡張機能「VR Matrix」(配信中のリアルタイム視聴者分析ツール)がBloodKhanidの配信に反応し、不審なアカウント群が検出されました。具体的には:

  • EVE Onlineの配信者を一切フォローしていない海外アカウント
  • プロフィールを見る限り、ロシア語話者のEVE Onlineプレイヤーとは考えにくいユーザー

他の一般的なEVE Online配信者ではこのような不審アカウントはほとんど見つからなかったのに対し、BloodKhanidの視聴者プールは異様な構成を示していたとのことです。


チャット活性度分析

次に、Craken Vはチャットの活性度を調査しました。

方法は「1時間の配信で実際にチャットにメッセージを投稿したユニーク視聴者数を計測し、表示視聴者数と比較する」というシンプルなものです。

例えばNeymayerの配信では、定期的にプレゼント抽選(視聴者がチャットに「+」と入力するイベント)が行われており、活性ユーザー数の計測が容易でした。

PrudN1koffの不審なデータ

特に注目されたのがPrudN1koffというストリーマーです。

  • Twitch視聴者数:100名超
  • YouTube同時視聴者数:800名
  • 配信内容:アセット移送という地味なゲームプレイ
  • 1時間のチャット活性ユーザー数:数名のみ

さらに、配信の視聴者グラフが急激な上下を繰り返す「スパイク状」の動きを示しており、Raidやホスト(外部からの視聴者流入イベント)なしにTwitchとYouTubeの両方で同時に上昇していました。

加えて、彼のYouTube動画「配信セットアップのルームツアー」は13,000回再生を記録しているにもかかわらず、コメントはわずか6件。Craken V自身のEVE Online動画は再生数が遥かに少ないながらも数十〜数百件のコメントを集めており、この乖離は非常に不自然と言えます。


第三者による”悪意ある水増し”事件

別の出来事として、BloodKhanidの配信に何者かが約2,000名のボット視聴者を送り込むという事件が発生しました。これはBloodKhanidによる自作自演ではなく、悪意ある第三者(おそらく対立勢力)による嫌がらせと見られています。

EVE Onlineはゲーム内政治が現実世界にまで影響することがある特殊なゲームであり、こうした配信妨害もその延長線上にあると考えられます。


なぜEVE Online配信で視聴者水増しをするのか?

小規模カテゴリでボット行為に意味があるのか?という疑問に対し、Craken Vは3つの動機を挙げています。

動機1:EVEパートナープログラムへの加入

EVE Online公式のストリーマーパートナープログラムに加入するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 過去3カ月のすべての配信で平均40名以上の同時視聴者
  • 1回以上のEVE Online配信
  • 過去3カ月で20時間以上のEVE Online配信

このプログラムに加入するとサブスクリプションの自動更新権、スキンのプレゼント、そして四半期ごとのPLEX支給などの特典が得られます。多くのストリーマーが加入まで何ヶ月、場合によっては何年もかけて取り組む目標です。

動機2:カテゴリ上位表示による本物の視聴者獲得

Twitchはカテゴリページで視聴者数の多い配信を上位に表示します。EVE Online配信カテゴリの視聴者が配信一覧を開いたとき、数百名の視聴者数を表示していれば自然とクリックされやすくなります。

また、EVE Onlineから他のゲームやJust Chatingに移行する際の「初期オーディエンス確保」のためという側面も指摘されています。

動機3:見栄・虚栄心

単純に、自分の配信に大きな数字が表示されていることへの満足感、または「たくさん見られている配信」に見せることへの欲求。


VTuberモデル+ボイスチェンジャー偽装問題

さらに別の角度からの不正行為も明かされました。EVE Online配信カテゴリでは女性ストリーマーが非常に少ないという実情を悪用し、YouTubeのVTuberモデルにボイスチェンジャーを組み合わせて女性を装い配信する男性ストリーマーの存在が確認されています。

EVEコミュニティでは(残念ながら)女性ストリーマーへの反応が過剰になる傾向があり、これを逆手に取ることで視聴者を集めやすくなるという計算があると見られます。実際に女性として頑張っているストリーマーたちが、こうした偽装組と戦わなければならない現状は問題だとCraken Vは指摘します。


視聴者水増し疑惑のチェックリスト

動画の結論として、Craken Vは「水増しの可能性を示すマーカー」を以下のようにまとめました。これらが単独で出た場合は偶然の可能性もありますが、複数重なる場合は注意が必要です。

  1. 高視聴者数なのにチャットがほぼ無反応
  2. Raidや外部イベントなしに視聴者数が急増・急減する
  3. 単調なコンテンツにもかかわらず異常に高い視聴者数
  4. 外部流入なしに視聴者数が長期間ほぼ一定に保たれている

まとめ

Craken Vは今回の調査について「特定の誰かを犯罪者として断定しているわけではない」と断りながらも、コミュニティに問題意識を持ってほしいと訴えています。

EVE Online配信カテゴリはTwitch全体と比べれば非常に小さく、脆弱なコミュニティです。他の巨大カテゴリに比べて対策も遅れがちであり、「ニューラルネットワーク連動型ボット」のような高度な手法が入り込む前に、コミュニティ全体で意識を高めることが大切だと結んでいます。


原動画:Craken V – EVE Online streamer viewbot investigation(ロシア語)

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