
はじめに
前の記事では、Imperiumリーダー Asher の宣戦布告演説を紹介した。今回はその「相手側」──Winter Coalition(凛冬)の中国人プレイヤーコミュニティがこの戦争をどう受け止め、どう戦おうとしているのかを紹介する。
中国最大の掲示板「百度貼吧」のEVEスレッドに投稿された前線レポートと、凛冬リーダー**noraus(通称NNN)**の戦争宣言を基に、戦争序盤の動きをまとめた。
元スレッド: https://tieba.baidu.com/p/10604804083
スレッドの冒頭──「歴史の終結」
投稿者はスレッドの冒頭でこう記している。
西は外環(Outer Ring)から、東は対舞(Tribute)まで──一つの時代を終わらせる絞首縄が締まろうとしている。
ImperiumとINITによる東西からの挟撃を暗示する、不穏な書き出しだ。
4月3日:宣戦布告後の最初の戦闘
Imperiumが正式に宣戦布告した直後、西線ではThe Initiative(INIT)が猛烈な攻勢を開始。攻撃強度は明らかに上昇し、凛冬側は戦損で苦しむ展開となった。
norausは同盟全体に向けて率直に状況を報告した。要約すると以下の通りだ。
- 最後の防衛ポイントで油断し、部隊の編成・投入が遅れた
- 誘導(サイノ)を敵が陣形を整えた直後に開いてしまい、大きな損害を出した
- ただし旗艦(キャピタル)の喪失は避け、天鉤(Skyhook)も救出に成功
- B-9星系でのサーバーリソース申請を怠ったのは自分のミスだと認めた
さらにnorausは今後の見通しについてこう述べた。
「問題はFRTが何方面から攻撃されているかではなく、まだ参戦していない敵がどれだけいるかだ。問題はAtiothの星城がオンラインになるかどうかではなく、寂静谷(Vale of Silent)がいつ前線になるかだ。」
5時間後にはImperium側の総動員集会(State of the Goonion)が控えており、数千人規模が集結しながら移動を開始する見込みだとも警告している。
4月4日:東西同時攻撃の開始
Imperiumは東西両方の戦線で大規模なソブリン攻撃(entosis)を同時展開。ただし投稿者の見立てでは、まだ「試探」の段階であり、凛冬側の抵抗力を測っている印象だという。結果として、この日のImperium側の攻撃は成功しなかった。
同日、norausも戦争に対する姿勢を正式に表明した。投稿者による要約は以下の通り。
- Imperiumとの間には絶対的な戦力差があることを認めた
- そのため全ての戦闘を受けるのではなく、選択的に戦闘を行う方針
- 防衛に適さない建造物や星系は放棄する可能性がある
- 最終的にはTitan決戦を回避しないと宣言──「このゲームはもう終わりに近い」という覚悟と共に
4月7日凌晨:最初の超大規模戦闘の予告
スレッド投稿者は、最初の超大規模戦闘が**中国時間 2026年4月7日午前2時30分頃(日本時間 午前3時30分頃)**に発生すると予測している。
これはImperium東線の橋頭堡となるAtiothでの戦いだ。Imperiumは一度にKeepstar1基とFortizar2基をアンカリングしており、これがオンラインになれば旗艦・超大型艦の安定した前線拠点が確立される。
Keepstarのオンライン時間は凛冬にとって非常に不利な時間帯だが、norausは反対意見を押し切り、このKeepstarへの阻止攻撃を予告した。投稿者はその姿勢をこう評している──「戦闘意志は非常に重要だ」。
投稿者個人の戦術予測
投稿者は「純粋な一兵卒の推測」と前置きした上で、興味深い戦術分析を展開している。
凛冬側の取り得る戦術:
- Imperiumの物量でサーバーが限界に達する可能性が高い
- 4〜5時間前から入場し、有利なポジションを先取りすることが鍵
- 戦闘に参加できないメンバーも戦備物資を星系内に搬入し、他のプレイヤーに提供できる
- Imperiumの増援ルートに妨害艦隊を配置して主力の到着を遅延させる
Imperiumが取り得る戦術:
- Keepstarオンライン前に超大型艦でゲートを強行突破する可能性がある
- 時間的にも人数的にも優位があるため、気勢で圧倒する戦略が合理的
- 過去のWorld War Bee 2「X47星城戦」でGoonswarmが超大型艦でゲートを強行突破した前例がある
投稿者は「もしImperiumの超大型艦群が本当にゲート強行突破をしかけてきたら、凛冬はDreadnoughtで強引な交換戦に出るのか?それも見ものだ」と期待を示しつつ、「この星城阻止戦は非常に困難で、戦略的失敗の確率は高い。だが試さなければ後悔が残る。GF(Good Fight)」と締めくくっている。
なお、コメント欄では他のプレイヤーから「1,000隻のDreadnoughtで1,000隻のSuper Carrierに突っ込んでも一方的に虐殺されるだけだ。Time Dilation(TiDi)で砲撃がラグる可能性はあるが、単体へのダメージ適用がラグる確率は低い」という冷静な指摘もあった。
4月5日夜:norausの戦争宣言と戦前動員
4月5日夜、norausは文字による正式な戦争宣言と星城阻止戦の戦前動員を発表した。以下はその内容の要旨だ。
戦況認識
- Imperiumは正式に戦争を宣言した
- 2,000隻以上の旗艦・超大型艦がK-I星系でTribute方面への投入を待機中
- 首要目標はBWF星城の破壊と、東Tributeへの恒久的な拠点確立
Imperiumへの批判
norausはAsherの開戦理由を「でっち上げの口実」と批判した。Imperiumは戦争を必要としており、凛冬が最後の対戦相手だと指摘。INITについては「勇猛に迎え撃つことで知られているわけではない」と皮肉を込めた。さらに「Imperiumはこの数年間、+8タイムゾーンの手先を密かに育ててきた。それはFRTとの決戦のためだ」と述べている。
戦闘方針の宣言
「劣勢を嘆いたり寡兵を愁いたりしても何の益もない。FRTとWCは既に刀槍を研ぎ澄ました。多くを語る必要はない──一人ずつ片付ける。」
Atio星城阻止戦について
norausの動員命令は明確だった。
- FRTは座して下線(ログアウト)することを是としない
- 全員が、全てのアカウントで、当日Atiothに出現すること
- 翌日、各コーポレーションから具体的な集合場所と準備すべき艦船の指示が出る
INITの西線活動への対処
- INITは前夜、黒淵(Black Rise)とFadeの288基のSkyhookを増強(reinforce)したと誇っている
- しかし前日に試みた86星系の増強は全て撃退された
- 翌日午後2時から夜11時にかけて288基のタイマーが来るが、B-9で警戒態勢を維持する
- INITはAtioth進出を遅らせるために積極的に交戦を仕掛けてくるだろうが、撃退した上で深夜0時からAtioth進出の部隊編成を開始する
決戦への覚悟
norausは最後にこう述べた。
「明日のAtiothには最低でも4,000〜6,000人が集まるだろう。投入と射撃開始だけで1時間かかる。これがM2-の再現にならないことを願うが、我々にできるのは人事を尽くし、全ての粘り強さを費やして困難に立ち向かい、天命に安んじることだけだ。」
「包囲に対して、私は諸君に約束する──何年も語り継がれる記憶を。小型艦も、大型艦も、超大型艦も、全て投入せよ。」
※M2-とは、2021年1月に発生したEVE Online史上最大規模の戦闘「M2-XFEの戦い」を指す。Titan数百隻が失われ、サーバークラッシュと大量のログイン妨害が発生した悪名高い戦いだ。
まとめ:両陣営の温度感
Imperium側のAsherの演説が「自信と挑戦」のトーンだったのに対し、凛冬側のnorausの宣言は「覚悟と悲壮感」が色濃い。戦力差を率直に認めた上で、それでも戦う姿勢を明確にしている点が印象的だ。
特に注目すべきは以下の点だろう。
凛冬が認めている不利な条件:
- Imperiumとの絶対的な戦力差
- Keepstarオンライン時間が凛冬にとって不利
- 東西二正面作戦を強いられている(Imperium東線 + INIT西線)
- まだ参戦していない勢力が加わる可能性
凛冬が示している戦闘意志:
- 不利な時間帯でもKeepstar阻止戦を実施する
- Titan決戦を回避しない覚悟
- 選択的に戦闘を行い、不要な建造物は放棄する合理性
- 全メンバー・全アカウントでの総動員
EVE Onlineの大戦争では、しばしば数値上の劣勢を戦闘意志と戦術で覆す展開が起きてきた。凛冬がこの「歴史の終結」にどう立ち向かうのか──4月7日のAtioth星城戦が最初の試金石となる。
続報に注目したい。
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