2026年3月9日、CCP GamesはEVE Frontierの開発者配信「Frontier Monday」を実施し、サイクル5「Shroud of Fear(恐怖の帳)」の全容を明らかにした。配信にはCCP Yoten、ゲームディレクターのCCP Good Fellow、開発ディレクターのCCP Bowman、プロダクトマネージャーのCCP Overloadが出演。3月11日(水)のリリースに向けて、パッチ0.5.1の詳細が語られた。

本記事では、配信内容とプレスリリースをもとに、サイクル5で何が変わるのかを網羅的にまとめる。


これまでで最大のアップデート

CCP Overloadによれば、今回のリリースには400以上のJiraチケットが紐付けられており、ファイル変更数は30,000以上。サイクル4が約3か月という過去最長のサイクルだったこともあり、技術面・コンテンツ面ともにEVE Frontier史上最大規模のアップデートとなる。

CCP Good Fellowは「ゲームプレイ体験のすべてが変わるリリースだ。大袈裟に言っているわけではなく、事実としてそうだ」と強調した。


Suiブロックチェーンへの移行

サイクル5最大の技術的変更は、EthereumからSuiブロックチェーンへの完全移行だ。開発チームが数か月をかけて取り組んできたこの移行は、プレイヤーにとっては「何も変わらないように感じる」ことが目標だが、裏側では膨大な作業が行われている。

CCP Good Fellowは「自分はエンジニアとしては優秀ではないが、新しい技術スタックでのサードパーティ開発を試してみたところ、驚くほど簡単だった」と語り、ハッカソンへの参加を呼びかけた(賞金総額80,000ドル)。

この移行がもたらす最も即座に体感できる変化はロケーション秘匿化(Location Obfuscation)だ。これまではストラクチャの位置情報がブロックチェーン上で丸見えだったため、誰でも他プレイヤーの拠点を特定できてしまう問題があった。サイクル5以降、ストラクチャの座標はハッシュ化され、正確な位置は表示されなくなる。

将来的には、ビルダーが自分のストラクチャの位置を任意で公開(ブロードキャスト)できる機能も計画されており、燃料補給ネットワークのような公共インフラを運営するプレイヤーが自らの施設を宣伝することが可能になる予定だ。


シグネチャ&スキャニング:宇宙に「不確実性」が生まれる

サイクル5の目玉機能のひとつが、パッシブ・オブザベーション・システム(受動観測システム)だ。

仕組み

これまでのEVE Frontierでは、オブジェクトは「見える」か「見えない」かの二択だった。サイクル5からは、宇宙空間のあらゆるオブジェクト(プレイヤー、NPC、小惑星)が未確認シグネチャとして表示される。船は常に周囲のシグネチャを解析しようとするが、距離が遠いほど解析に時間がかかる。

最初に導入されるのは重力シグネチャで、対象の質量に基づいて検出される。これにより以下のような駆け引きが生まれる。

  • 小型船の優位性:質量の小さい船は大型船より先に相手を検出できる。つまり、軽量な偵察船を先行させれば、敵に察知される前に情報を得られる
  • 大型船のリスク:重い船は遠距離から検出されやすい。重戦力を前面に出すと、接敵前に存在がバレる
  • 遮蔽物の活用:小惑星などの障害物の背後に回ると、シグネチャの解析情報が劣化・消失する。逆に視線が通れば再解析が始まる
  • 情報の劣化:シグネチャは一度解析しても、視線を外すと時間とともに情報が失われる。静止物(小惑星など)は同じ位置に留まるため再解析が速いが、移動するNPCなどはトラッキングが困難になる

配信では実際のゲームプレイ映像が公開され、遠距離のシグネチャがジラジラと揺らぎながら解析を試み、障害物に遮られると消失し、再び視線が通ると解析が再開される様子が示された。新しいシグネチャが出現するとガイガーカウンターのような「チッ」という音が鳴り、複数のシグネチャが一斉に出現すると連続的にティックが鳴る演出が加わっている。

将来の拡張

重力シグネチャはあくまで第一弾で、今後は以下のようなシグネチャタイプが計画されている。

  • 電磁(EM)シグネチャ:採掘レーザーなどの電磁的活動を検出
  • 熱シグネチャ:稼働中の機器が発する熱で検出距離が変化
  • 通信シグネチャ:フリート内のトランスポンダー通信を検出。近くにフリートがいると、互いに通信し合うシグネチャの群れとして表示される(サイクル5には未実装だが技術基盤は完成)

また、アクティブスキャン(能動的な走査)も開発中で、チームは早期実装に非常に意欲的だという。アクティブスキャンは自分の周囲をより詳細に調べられるが、スキャン行為自体が自分のシグネチャを増大させるトレードオフがある。

デコイ(囮)ドローンやノイズ発生装置といった電子戦要素も構想されており、第二次大戦の潜水艦が使ったデコイ・キャニスターのように、シグネチャノイズで敵の探知を妨害しつつ逃走する、といったプレイが将来的に可能になる見込みだ。

なお、この時点ではバランス調整は未完了であり、プレイヤーからのフィードバックをもとに今後チューニングが行われる。


キャラクター進行:シェル産業、ネスト、クラウン

サイクル4で導入されたキャラクター進行システムが大幅に拡張される。

シェル(Shell)

プレイヤーの意識が宿る身体=「シェル」を自分で製造・管理できるようになった。新たに追加された2つの施設がこれを支える。

  • ナーサリー(Nursery):シェルの製造施設。アグレッシブ・シェル、リーピング・シェル、ラグド・シェルの3種が最初の製造可能シェルとして登場。製造には素材と時間(例:10時間)が必要
  • ネスト(Nest):製造したシェルの保管施設。シェルの切り替え時、使用中のシェルは自動的にネストに格納される

クラウン(Crown)

記憶(Memory)をクラウンに変換し、シェルに装着することで能力を強化できる。クラウンはアセンション・プロトコルを通じて生成され、シェルのカスタマイズと専門化を可能にする。

重要なのは、シェルが破壊されると、そのシェルに刻まれたスキルと記憶は失われるという点だ。これはFrontierの「過酷なサバイバル」というコンセプトに直結する設計で、準備と適応力がなければ生き残れない。

キャラクターシートも刷新され、シェル情報やアセンション・プロトコルUIが更新されている。


カメラの大幅改善

CCP Manbjornを中心としたアートチームの仕事により、カメラシステムが大きく進化した。

  • チェイスカメラ:Cキーで船の後方にカメラが固定される。以前の追跡カメラより柔らかい追従で、狭い空間でのマヌーバリングや映画的な映像撮影に最適
  • トラッキングカメラ:ターゲットを選択してTキーを押すと、自機とターゲットの両方を常にフレームに収める
  • コンポジションマネージャー:画面構図を自動的に整え、見栄えの良い配置を維持
  • テレスコープモード改善:以前はジッターがひどく使い物にならなかったが、大幅にスムーズになった。ズーム段階ごとの感度調整も進行中で、将来的にはプレイヤーが感度をカスタマイズ可能になる予定
  • アンドックカメラ:よりスムーズで映画的な演出に

CCP Good Fellowは操作性について「我々はモーメント・トゥ・モーメントのゲームプレイで宇宙船の船長であることを実感できるゲームを作っている。まだ完成には程遠いが、このアップデートで大きく前進した」と述べた。また、テレスコープモード映像では手動射撃モードのターゲティング・レティクルが確認でき、これは次のアップデートで実装予定の機能だという。


ベースビルディングの進化

建設サイト(Construction Sites)

ストラクチャの建設方式が刷新された。これまではビルドメニューから直接建設していたが、サイクル5では以下の流れになる。

  1. ビルドモードで建設サイトを設置
  2. 建設サイトに素材を投入(自船だけでなく、周辺のストレージコンテナからも投入可能)
  3. 素材が揃うと建設開始

重要なのは、誰でも建設サイトに素材を投入できるという点だ。自分が半分の素材を入れ、仲間が残り半分を入れるといった協力建設が可能になった。ただし、所有者は建設サイトを設置したプレイヤーとなる。

この変更に伴い、全ストラクチャの建設時間が20%短縮された。なお、フィールドで展開するポータブル・ストラクチャ(フィールドストラクチャ)については、従来通りカーゴホールドに素材を持っている必要がある。

タレットの刷新

サイクル4までのタレットは率直に言って「本当にひどかった」とCCP Yotenが認める性能だった。バランス調整が難しく、基本的な戦術で簡単に無力化されていた。サイクル5では暫定的ではあるが大幅な改善が行われる。

  • 3種類の新タレット:ミニタレット(小型目標特化)、タレット(中型目標特化)、ヘビータレット(大型目標特化)
  • 専用武器内蔵:タレットに武器を装着する必要がなくなり、個別バランス調整が可能に
  • 設置数制限の撤廃:タレットの設置上限が撤廃され、電力のみが制約になった。電力が許す限り、ネットワークノードをタレットで囲むことも可能
  • 防衛側の強化:これまで攻撃側に大きく傾いていたバランスを防衛側に寄せ、攻撃側にもある程度の労力を要求する方向に

アンカーポイントの拡大

各Lポイントに5〜20のベースアンカーポイントが追加された。プレイヤーは1つのLポイントにつき1つのネットワークノードに制限されるが、同じLポイント内で複数プレイヤーが隣接して建設できるようになった。これはトライバル・ベースビルディングの本格実装までの暫定措置だが、仲間と「ご近所さん」になれる嬉しい変更だ。

ビルディングフォームの再調整

名称変更とコスト調整が行われた。数値だけ見ると「ナーサリーにフォーム20個?高すぎる」と思うかもしれないが、これは新しい単位の20であり、旧フォーム換算ではわずか2個相当。全体として従来と同等かそれ以下のコストになっている。

また、多くのストラクチャ名がプレースホルダーから正式名称に変更された(「Printer M」→「Printer」、「Wall 1」「Wall 2」なども刷新)。


オービタルゾーン:ダンジョン全廃、宇宙が生態系になる

サイクル5最大のゲームプレイ変革と言っても過言ではないのが、オービタルゾーンの全システム展開だ。

何が変わるのか

  • 既存ダンジョンの完全撤廃:サイクル4までの資源採集サイト、NPCサイト、すべてが消滅する
  • オービタルゾーンへの統合:資源を得るにはオービタルゾーンに入り、探索する必要がある
  • 15の新バリエーション追加:サイクル4の5種類に加え、新たに15種類のオービタルゾーンが登場。それぞれ固有のストラクチャ、グラフィック、ボリュメトリッククラウドを持つ
  • 資源分布の大規模更新:宇宙全体の資源とNPCの分布が見直された

NPCの大幅進化

NPCの行動パターンが根本から変わった。

  • 目的を持って行動する:ただ飛び回って近づいたら撃ってくるだけではなく、目的、タスク、ゴールを持っている
  • 星系内のPOI間を移動する:プレイヤーの拠点にも出現する可能性がある
  • 取引が可能なNPCもいる:すべてのNPCが敵対的ではなく、交易に応じるものもいる(Proto Droidbotプレイヤーが実証済み)
  • NPCからの直接ルートドロップは廃止:代わりに、宇宙空間の残骸(レック)やリソースキャッシュからルートを入手する。NPCはそれらを守護する存在として機能
  • 将来的にサルベージ可能に:NPCを「上品に」破壊できれば、サルベージで価値あるアイテムが得られるようになる予定

旧来のフェラル・グループ名(Termitis、Okas、Sakatas、Oza Ter等)はすべて廃止され、ゲームのロアに沿った新しいクレード(系統)に置き換えられた。

新型リフト

2種類の新しいリフトが追加される。

  • マイクロリフト:ほぼすべての星系に存在し、少量のクルードを採取できる。高品質ではないが、移動中の燃料補給には十分。「森でベリーを摘むようなもの」とCCP Yotenは表現した
  • 視覚的にも美しいエネルギーエフェクトを持つ新しいリフトモデルが登場

艦船バランス変更

新艦船「ライ(Lie)」

新しいエクスクレーブ・フリゲートが製造可能になった。MCFとHAFの中間的な性能を持つ高機動艦で、サイクル1〜2時代の「Microparo」として記憶しているプレイヤーもいるかもしれない。ちなみに、唯一のライを所有していたSolinaria氏は、前日のゼロッティ・イベントにこの船を持ち込み、エンフォーサーを引きつけるデコイ役を務めたという。

タティス(Tatis)の調整

これまで「万能すぎる」存在だったタティスに調整が入る。スロットレイアウトの変更、最高速度の微増と引き換えにアジリティの低下、角速度の変更など。また、デストロイヤーへのティア2エンジン搭載が不可に。

その他の艦船変更

  • リカーブ(Recurve):パワーグリッド増加、速度向上、アジリティ微減、角速度改善。リーバーとの差別化
  • リーバー(Reaver):アジリティと角速度が向上
  • HAF:重戦闘艦としてのアイデンティティを強化
  • MCF:機動性の調整
  • モール(Maul):スロットプロファイル変更、タレット対応ハイスロット追加で強化
  • ローラ(Lora):質量微増
  • シュマック(Chumach):質量微減

質量の変更はシグネチャシステムと連動しており、大型化すれば検出されやすくなるというトレードオフが生まれる。


モジュール・装備の追加

  • 移動用モジュール「ホップ」「スキップ」「リープ」:オービタルゾーン内を高速移動するためのドライブモジュール。初期船にはスキップが標準装備され、大型船用は製造が必要
  • アダプティブ・ナニティック・アーマーウィーブの調整およびウィーブ4がマーケットに追加
  • スターティングリージョンの配置変更

オーディオ・アート・ビジュアル

サウンド

CCP Heretic(旧CCP Rolls)が大量の新サウンドを追加。スポーンイン時の新BGM、新バトルミュージック、武器サウンドエフェクトの刷新など。

アート

これまでに実装されたほぼすべてのアセットにアートパスが適用された。新タレットモデルは動的に可動し、VFXが付随する。新オービタルゾーンのビジュアルも一新され、ボリュメトリッククラウドを含む新グラフィックが導入されている。リリース後もアートチームは継続して改善を行う予定。


リリーススケジュールと注意事項

ダウンタイム開始:3月11日(水)09:00 UTC(日本時間 18:00)

ダウンタイム終了予定:16:00 UTC(日本時間 翌01:00) ※最大7時間を想定

技術スタック全体の入れ替えを伴うため、20人以上のスタッフが同時に作業を行う大規模デプロイメントになる。予定より早く完了しても、公平性のため16:00 UTC以前のオープンは行わない。最新情報はDiscordで告知される。


サイクル5後の予定

  • 3月11日(水):ハッカソンキックオフ配信
  • 3月13日(金):開発チームによるサイクル5レッツプレイ配信(オフィスからのライブ)
  • リリース直後のパッチ:サイクル5開始日翌日にも初回パッチが予定されており、破壊と再建(Destruction & Rebuilding)などサイクル5開始に間に合わなかった機能も順次追加
  • フィードバック重視の2〜3週間:開発チームはプレイヤーと共にライブ環境でプレイし、積極的にイテレーションを行う

ファウンダーへのお願い

CCP Good Fellowは配信の締めくくりに、コミュニティへの協力を強く求めた。

「30,000ファイルが変更される。どこかでミスがないわけがない。それを前提に準備している。プレイして、Discordでコメントして、ゲーム内でフィードバックを送って、バグレポートを出してほしい。皆さんの目の前でゲームが改善されていくのを見届けてほしい」

また、新規プレイヤーへの支援も呼びかけている。オービタルゾーンやシグネチャスキャンは新規にとって直感的に理解しづらい可能性があり、ベテランの助けが重要になる。


期間限定:$19.99のゲームアクセスパス

3月11日〜31日の期間限定で、$19.99の「ゲームアクセスのみ」のファウンダーアクセスが販売される。通常の$40パスに含まれる永続的なアカウント特典は付かないが、サイクル5を体験するには十分だ。


まとめ

サイクル5「Shroud of Fear」は、EVE Frontierのゲーム体験を根本から変えるアップデートだ。Suiブロックチェーンへの移行、シグネチャスキャンによる情報戦の導入、シェル産業によるキャラクター進行の深化、オービタルゾーンへの全面移行、NPC AIの進化、艦船バランスの刷新──どれをとっても「これまでで最大」と呼ぶにふさわしい。

サイクル名の「Shroud of Fear」は文字通り、情報が不確実になった宇宙での恐怖を体現している。CCP Overloadが配信中に語った通り、「日曜日のゼロッティ戦に参加した者なら、どれほどの恐怖が『帳』の向こうにあるか身をもって知っているはずだ」。

3月11日、Frontierの世界は一変する。準備を整えて、恐怖の帳の中へ飛び込もう。


この記事はCCP Gamesの公式配信「Frontier Monday」(2026年3月9日)およびプレスリリースをもとに作成しました。 配信アーカイブ:https://www.youtube.com/watch?v=z0WgbecdoZc

  • EVE FrontierのCycle 5「Shroud of Fear」アップデートは、プレイヤーがクローン体(Shell)を自ら製造・管理可能にし、破壊時のスキル喪失リスクを導入してサバイバル要素を強化。
  • 銀河系にOrbital ZonesとFeral AIを追加し、動的な生態系と敵の巡回を実現、従来のダンジョンを置き換えて探索の没入感を向上。
  • 3月11日開始のこの更新でEthereumからSuiNetworkへのブロックチェーン移行を伴い、$80,000規模のハッカソンを開催してコミュニティ拡張を促進。

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